白頭山が爆発すれば、韓国が受ける被害規模はどれくらいだろうか。
韓国の直接・間接的な財産被害額は、最大11兆1900億ウォン(約1兆1710億円)台に達するという試算がある。
釜山大学地球科学教育科のユン・ソンヒョ教授の研究チームが、2015年に政府主管で進めた「火山災害被害予測技術開発」の研究結果によれば、火山爆発指数(VEI)7規模で白頭山が噴火し、北東の風が吹いた場合、韓国全域に火山灰が積もり、農作物被害だけで4兆5189億ウォン(約4729億円)に達するとしている。
火山噴火後8時間が過ぎると、江原道から火山灰が流入し、48時間後には全羅南道西南部地域を除く韓国全域が火山灰の影響圏に入る。
また、済州空港を除いた国内すべての空港が最長39時間閉鎖され、最大611億ウォン(約64億円)の財産被害が発生するとしている。さらに、火山噴火で地震が起きると、朝鮮半島南端の釜山地域の10階以上の建物まで破損する可能性があり、ソウルだけで130億ウォン(約13億6000万円)の財産被害が及ぶと予測している。
これは946年の白頭山大噴火に基づき、最悪の状況を仮定した研究結果だ。
◇「心理的に近い山」
実際の被害はこれより少ないという予測もある。気象条件上、火山灰や火山ガスなどが、韓国に直接影響を及ぼす可能性は低いという見方だ。
韓国気象庁地震火山研究課のパク・スンチョン課長は「韓国は偏西風の影響を受ける傾向があり、白頭山爆発時に火山灰が遠くまで拡散するとすれば、南側よりも日本方面に行く可能性が高い」とみる。
ソウル大学地球環境科学部のイ・ヒョヌ教授も「われわれと心理的に近い山なので、話題になっている。白頭山火山噴火の際、韓国に及ぼす直接的な被害はほとんどない」との見解を示す。
◇徹底した備えが必要
専門家によると、白頭山噴火の際、火山灰は風に乗って北朝鮮の両江道(リャンガンド)と咸鏡道(ハムギョンド)を通り、日本の北海道方向の北東に移動する。VEI3~4規模なら火山灰が上空30~40kmまで上昇するが、この場合、白頭山の火山灰は日本を越えてアラスカまで循環するとみられる。
火山灰が遠くまで広がると、韓国と米国を結ぶ航路に影響を及ぼすため、貿易に支障が生じかねない。
イ・ヒョヌ教授は「火山灰による農作物へのダメージなど直接的な被害よりも、通信網、空路の麻痺などによる経済的被害の方が大きいだろう」とみる。
また、ユン・ソンヒョ教授は「通常、韓国は中緯度に属する偏西風地域であるため、白頭山爆発による直接的な被害は少ないだろう。ただ、風が常にそのように吹くわけではなく、白頭山爆発の被害が韓国にももたらされる可能性はある。そうした場合を想定し、徹底した備えが必要だ」と強調する。
(おわり)
(c)NEWSIS