2024 年 11月 22日 (金)
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[KWレポート] 朝鮮半島最高峰・白頭山爆発は他人事か(2) 火山性地震活動

溶岩が流れ落ちるファグラダルスフィヤル火山(アイスランド)(c)AP/NEWSIS

2000年代初めから半ばにかけて白頭山の火山活動が活発だったという研究結果も、この仮説を補強する。

浦項(ポハン)工科大学環境科学部のイ・ユンス元教授によると、2002年6月から2005年12月の間、白頭山天池のカルデラ内部地下で発生した火山性地震は、約8000回以上あった。最も多い時は1カ月に約250回近く発生し、温泉水の温度も摂氏83度まで上がった。

火山ガスが漏れ、白頭山の頂上付近では木々が枯れた。

一方、釜山大学地球科学教育科のユン・ソンヒョ教授は「昨年中ごろまでは、白頭山天池で火山活動が増加するデータが見られたが、今は再び例年の水準に戻った」と話す。

ユン教授によると、2020年12月から昨年6月までの火山性地震活動は、1年に100回以上を記録した。昨年6月以降は、平常時の年40~50回程度の水準に戻った。

◇学界で見解割れる「噴火記録」

済州(チェジュ)島の西帰浦(ソグィポ)や忠清北道(チュンチョンプクド)槐山(クェサン)、仁川(インチョン)の江華(カンファ)の地震は、白頭山噴火の予兆なのだろうか。

「大規模な地震が隣接地域にある火山活動を加速させるのは事実だが、最近あった一連の地震は、白頭山に影響を与えるほどの規模ではない」

延世大学地球システム学科のホン・テギョン教授はこう「予兆説」を否定する。

実は、1925年に白頭山が噴火したという記録についても、学界で意見が分かれる。

旧ソ連の研究チームが1925年、火山灰と水蒸気が白頭山天池内に噴き出すのを見た、と記録している。

だが、韓国地質資源研究院のクォン・チャンウ火山研究団長は「該当文献は現在、北朝鮮だけに残っており、公式に確認されていない」と疑問視する。1903年に白頭山天池で、小規模の噴火があったという記録を「公式的な記録だ」と見ている。

2019年1月23日、イタリア南部ナポリ近くポンペイ古代遺跡の後ろに雪に覆われたベスビオ火山がみえる(c)AP/NEWSIS

◇「活火山」

白頭山噴火を巡るさまざまな憶測を、肯定も否定もできないのが現実だ。

白頭山は今もはっきりと火山活動が見られる「活火山」であることには間違いない。

ユン教授の見解はこうだ。

「白頭山天池の下部5~7km下にマグマ部屋がある。火山性地震が天池カルデラ内部の地下で持続的に発生し、温泉水温度も他の火山より相対的に高い水準を維持している。時期は予測できないが、いつ爆発しても少しもおかしくない」

イ・ユンス元教授も「西暦79年、イタリア・ナポリ近郊の古代都市
ポンペイを襲ったベスビオ火山は、爆発する前の62年に大規模地震など前兆があった」と指摘。「2000年代に活発だった火山活動が、今後、白頭山が爆発する前兆になり得る」と語った。

白頭山の爆発時期を予測するには、周期的なモニタリングが必要になる。現在、研究の中心となっているのは、釜山大学火山特化研究センターだ。

気象庁の支援を受け、2018年に設立された同センターは、白頭山噴火早期警報・予報体系を構築するため、中国の研究陣とも連携して白頭山の異常兆候を観測している。

(つづく)

(c)NEWSIS

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