韓国の百貨店が、売り場の天井にひび割れが生じた状態で営業を続け、ネット上で批判が相次いでいる。韓国では1995年にも百貨店の天井で同じようなひび割れが生じたのに店側が対処せず、その後崩壊して大惨事になった例があり、百貨店側の安全不感症を懸念する声も上がる。
韓国京畿道(キョンギド)城南(ソンナム)市にあるNC百貨店野塔(ヤタプ)店で16日午後、2階の婦人服売り場の天井にひび割れが生じた。オンライン上では同日、「NC百貨店が崩壊するのでは」と心配する書き込みと写真が掲載された。そこには天井の亀裂箇所を押し上げるように一時的な補修が施されている様子が収められていた。投稿者は「本当に怖い。ひび割れが始まったのに、営業を続けている」と書き込んだ。
韓国では1995年6月、ソウルの三豊(サンプン)百貨店(地上5階、地下4階)で、5階の従業員が天井のひび割れを発見、翌日にはさらに大きくなっていたため、経営側に通報した。専門家が危険を察知したのに、経営側は営業を続けた結果、建物は崩壊、502人が死亡、937人が負傷し、6人が行方不明者となる大惨事となった。
今回の天井の亀裂はウォン・ヒリョン(元喜龍)国土交通相にも緊急報告された。ウォン氏は16日、SNSで「営業を続けたというのは、まだわれわれの社会に安全不感症が蔓延しているという証拠」と批判。「三豊百貨店の際も、前兆があったにもかかわらず、無視して営業を続け、大事故につながった。安全に関しては小さな亀裂も油断してはならない」と訴えた。
百貨店側は17日、休業して建物の安全点検に乗り出した。
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