中国の新型コロナウイルス感染拡大と秘密警察署問題、微小粒子状物質「PM2.5」汚染などが重なり、韓国社会で嫌中感情が深刻化している。ソウル最大のチャイナタウン、永登浦区(ヨンドゥンポグ)大林洞(テリムドン)に住む中国朝鮮族らは、こうした雰囲気を敏感に感じ取っている。
「いったい、何で逃げたのか、わからないですね……」
大林洞で会った朝鮮族は一様に、こう話した。仁川国際空港から入国した中国国籍の40代の男が、新型コロナの陽性判定を受けても隔離を拒否し逃げた事件についての反応だ。
たった1人の逃走だが、韓国社会の中国に対する感情を損ねたのは間違いない。ここに住む中国人は記者の質問を避けたり、慎重な反応を示したりした。
ある店主は「ここにいる中国同胞と中国人は皆、防疫措置をしっかり守っている。韓国は新型コロナの検査と治療をしっかりしているので、われわれも防疫指針を順守している」と訴えている。
また、豚足屋の店員は「逃走した中国人をよく検挙してくれた。なぜ逃げたのかわからない」と話した。
店主らは旧正月(今月22日)を前に、嫌中感情が持ち上がるのを懸念している。
雑穀屋の店主は「コロナ以後、ここを訪れる人が減った。旧正月にも人が来なければ大変」と憂慮した。一方で「コロナで人は減ったが、それでも春節(=旧正月)には韓国じゅうの中国人がここに集まる」(スンデクッ食堂の主人)という見方もある。
大林洞の住民らは韓国社会で調和して生きていくことを望み、韓国の政策・制度にも「しっかり従う」と口をそろえている。ただ、韓国と中国の関係が緊張することで、韓国に住む中国人に嫌中の矛先が向けられないか、懸念する声も根強い。
(c)news1