韓国ロッテグループのシン・ドンビン(辛東彬、日本名・重光昭夫)会長が描く「ニューロッテ」の未来はどんな姿か……。
流通の名家であるロッテは、早くから「脱流通」に関心を持って化学事業に進出し、流通と化学の2分野を中心軸として育ててきた。
さらに最近、ロッテはヘルス&ウェルネス、モビリティ(人の自由な移動やそれを支える仕組み)、水素・電池素材などを「未来の新たな成長産業」として育てる、という大きな絵を描いている。
◇米医薬品企業の買収
ロッテは今年7月、ヘルス&ウェルネス、モビリティ、持続可能性部門を含め、化学・食品・インフラなどの核心産業群に5年間、国内で計37兆ウォン(約3兆8550億円)を投資すると発表した。ヘルス&ウェルネス事業はロッテ持株会社から別途法人として独立したロッテヘルスケアとロッテバイオロジクスが主軸になって進めている。
既にロッテバイオロジクスは5月、米ニューヨーク州シラキュースにある米医薬品ブリストル・マイヤーズスクイブのバイオ医薬品生産工場を2000億ウォン(約208億円)規模で買収し、来年から本格生産を始める。
シラキュース工場は、計3万5000リットルの抗体医薬品原液(DS)を作ることができる。以後、この医薬品受託製造(CDMO)に事業を拡張し、完成医薬品(DP)と再生医療等製品の生産が可能な施設に転換する計画だ。
ロッテグループは米国法人を設立した後、10万リットル以上の規模の生産工場も建設する方針だ。韓国ではCDMO事業の拡張に向け、1兆ウォン(約1040億円)規模の工場建設を検討している。
◇目指すは「グローバルトップ10」
ロッテグループはバイオ医薬品事業に今後10年間で2兆5000億ウォン(約2605億円)をつぎ込み、2030年にはグローバルトップ10に数えられるバイオCDMO企業に生まれ変わりたいという思惑がある。
また、ロッテヘルスケアは来年上半期、あるプラットフォームの発売を控えている。個人オーダーメード型の健康管理トータルソリューションを提供するものだ。
このために7月からグローバルゲノム分析サービスや人工知能(AI)による新薬開発「Theragen Bio」、デジタルヘルスケア専門「ONtact HeAlth」とコラボしてプラットフォーム開発に乗り出している。(つづく)
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