韓国初の国産空対地ミサイル「天剣(チョンゴム)」システム開発が完了し、輸入に依存してきた空対地誘導弾の国産化が本格化する。これにあわせ、15日には7カ国の軍・防衛産業界関係者が参観するなか、国産ミサイルの射撃テストを実施し、「K-防衛産業」の技術力をアピールした。
◇AIアルゴリズム搭載
天剣は、米国製対戦車ミサイル「AGM-114 ヘルファイア」のように敵の戦車を精密打撃するミサイルシステム。国防科学研究所(ADD)を中心に2015年11月から開発が進められてきた。今月12日、戦闘用適合判定を獲得するなどシステム開発に成功した。
天剣は類似の兵器システムでは初めて、人工知能(AI)アルゴリズムが搭載された。映像ディープラーニングにより、有事の際には固定された標的を自動的に攻撃できる。
韓国軍は天剣を搭載する小型武装ヘリコプター(LAH)の開発も同時に進めてきた。LAHの量産は既に決まっており、天剣の来年からの量産により、空対地誘導弾の国産化が始まることになる。
◇精密誘導兵器への需要
天剣を製造するハンファ・エアロスペースはこの1年間、天剣を地対空ミサイルに改良する作業も進めてきた。15日にはその地対空ミサイル「K21+天剣」が公開され、国産のK21歩兵戦闘車からの実射撃が初めて披露された。
試演行事は忠清南道(チュンチョンナムド)泰安(テアン)のADD安興(アンフン)試験場で開催され、サウジアラビアやノルウェー、エジプト、スウェーデン、アラブ首長国連邦(UAE)、ポーランド、フィリピンからの軍・防衛産業関係者計約50人が参観した。
こうした国々では、ロシアのウクライナ侵攻を契機に、米国産地対空ミサイル「FIM-92 スティンガー」や対戦車ミサイル「FGM-148 ジャベリン」のような精密誘導兵器への需要が高まっている。韓国側はこの7カ国を潜在的な顧客ととらえており、天剣開発をテコに「K-防衛産業」の売り込みに弾みをつけたい考えだ。
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