韓国で何かと注目を集める「ミレニアル世代」をテーマにした社会批評書「ミレニアルの心」が注目されている。MZ世代の映画評論家カン・ドクグ氏の著書で、「実はミレニアル世代もミレニアル世代をよく知らない」などという独特の世代論を展開している。
ミレニアル(M)世代とは、1980年代半ばから1990年代初めにかけて生まれた人たちを指す。それに続く1990年代後半から2010年ごろに生まれた「Z世代」を合わせてMZ世代と呼ぶ。両者ともインターネットが普及した環境で育った「デジタルネイティブ」で、ソーシャルネットワークに積極参加するという特徴がある。
ミレニアル世代は、朝鮮戦争(1950~53)、クーデタで権力を握ったパク・チョンヒ(朴正煕)政権(1963~79)による軍事独裁政権、アジア通貨危機(1997)を経験していない。それゆえ「本当の苦痛を知らない」という批判されることも少なくない。
この言葉にカン氏はMZ世代の青年の声を通して反論している。
ヘル朝鮮(地獄のような国)世代、恋愛・結婚・出産を諦め放棄する「三放世代」、自殺を考える青年たち、コンビニの料理で食事を済ませる青年たち、差別に賛成する青年ら……。こうした状況が今の青年の痛みを説明しているという。
カン氏はMZ世代を代表するキーワードとして「公正性」を挙げる。
100年に一度の経済恐慌と言われた「リーマン・ショック」(2008)という金融危機があった。2010年代に入って「公正性」「能力主義」という、誰もが努力して得た成果であれば、完全に受け入れて自分のものにしてもかまわないという認識が芽生えた。これが、今のMZ世代の生活を規定する根本的な精神になった、という説を唱えている。
そのうえでカン氏は「ミレニアル世代もミレニアル世代をわかっていない。彼らが2010年代に抱いた感情が何なのか、なぜそんな感情を覚えたのかわかっていない」とみている。
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