2024 年 12月 21日 (土)
ホーム特集KW レポート 韓流ブーム便乗、K-フードが海外攻略 (3)

[KWレポート] 韓流ブーム便乗、K-フードが海外攻略 (3)

オリオン…グローバル進出30年、徹底した「現地化」

(c)NEWSIS

現地消費者の特性に合わせてカテゴリーを多様化し、新製品とする――これをモットーにグローバル展開している総合食品企業がある。韓国の製菓大手メーカー「オリオン(ORION)」だ。同社は1993年の中国・北京事務所開設から始まって、そのターゲットをベトナム、ロシア、インドなどに広げ、現在、海外で11の工場を稼動している。

◇中国

1993年に北京事務所を開設したオリオンは、1997年には北京に近い河北省廊坊に現地生産拠点を構築し、中国市場の攻略を本格化させた。その後、上海、遼寧省瀋陽、広東省広州にも工場を建設し、大量生産体制を整えた。

同社は都市・地域ごとに細かい現地化戦略を打ち立て、その結果、「チョコパイ」「オー!カムジャ(おー!じゃがいも)」「スウィングチップ」などを国民的菓子に仲間入りさせた。最近は量産パン、ゼリー、栄養バーなどを発売し、新たなカテゴリーでの市場拡大を試みている。

中国でチョコパイを売り出す際、袋の表示には、韓国で使ってきた「情」ではなく、「仁」の文字を印字している。中国人が最も重視する価値が「仁」であるという点を考慮しての措置だ。

味の面でも現地化を進めている。例えば、中国人はトマトを使ってシチュー(番茄炖菜)を作ったり、薄く切って焼いたりする。オリオンはこれに着目して「オー!カムジャ(トマト味)」などを発売している。

(c)NEWSIS

◇ベトナム

ベトナムには1995年、チョコパイを輸出してビジネスの第一歩を踏み出した。2006年にはホーチミン・ミーフックに、2009年にはハノイに、それぞれ工場を立ち上げ、ベトナム内での生産体制を整えた。

その後、3年をかけてベトナム全域の約170カ所に販売店を設置。販売員が取引先を訪問するたびに陳列台を清掃するなど、韓国式「情」の営業戦略を展開し、市場をひきつけた。

オリオンのベトナム法人はスナック、パイ、ビスケットなど、すべてのカテゴリーで競争力の高い製品を発売し、2015年には累積売上額1兆ウォン(約1038億円)を突破した。昨年は年間売上額3000億ウォン(約311億円)を超え、過去最高を記録した。

オリオンのチョコパイはベトナムの市場で70%近いシェアを占めている。ここでも現地消費者の好みに合わせ、「チョコパイダーク」(2017年)、「桃味」(2019年)、「ヨーグルト味」(2020年)などの新製品を相次いで発売し、同社の成長をけん引している。

オリオンは、人口約6億人を有する東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国はもちろん、中東地域への販路拡大を目指している。そのための「輸出前哨基地」としてベトナム法人を育て上げたい考えだ。

(c)NEWSIS

◇ロシア

チョコパイは、お茶とケーキを一緒に楽しむロシアの食文化にマッチし、発売当初から人気を博している。ロシアでは、オリオン現地法人の中で最も多い13種のチョコパイを生産・販売している。

1990年代初め、釜山(プサン)を中心に、ロシア行商人によるチョコパイ購入ブームが起きた。これを機にオリオンは1993年、ロシアへのチョコパイ輸出し始めた。2003年にはロシア法人を設立した。

多品目の販売システムを取った成果から、2021年には年間売り上げ1000億ウォンを突破した。同年7月の段階で、中国やベトナムに次いで、ロシアでも累積売上額1兆ウォンを超えた。

今年下半期にはロシア西部トヴェリの新工場が本格的に稼動し、パイの生産が活発化するとともに、ビスケット類の新製品も生産を始めている。

(c)NEWSIS

◇インド

2021年2月、インドのラジャスタン州に生産工場を完工し、翌月からチョコパイを生産・販売している。

オリジナル製品に加え、「チョコパイイチゴジャム」「チョコチップクッキー」「アン」「マスタード」など多様化させ、17兆ウォン(約1兆7640億円)規模の製菓市場を開拓した。

インド北部を中心にマーケットを広げ、パイやビスケット、スナックなどで多様な製品を販売してブランドの認知度を高めていきたい考えだ。

(つづく)

(c)NEWSIS

RELATED ARTICLES

Most Popular