韓国のサムスン電子が5日発表した社長団人事で、創業家出身ではない、初の女性社長が誕生した。性別と学閥、国籍を問わないイ・ジェヨン(李在鎔)会長の人材経営哲学が反映されたとみられる。
5日断行された2023年の定期社長団人事で、サムスン電子DX(デバイスエクスペリエンス、モバイル・家電)部門グローバルマーケティングセンター長(副社長)のイ・ヨンヒ(李英熙)氏がグローバルマーケティング室長(社長)に昇格し、「サムスン初の女性社長」となった。サムスンには23の系列会社があるが、これまで女性社長はイ・ジェヨン会長の妹であるホテル新羅のイ・ブジン(李富真)社長だけだった。
イ・ヨンヒ氏は外資系化粧品会社「ロレアルコリア」でマーケティング専門家として活動してきた。2007年、サムスン電子無線事業部マーケティンググループに常務として入社。2012年、副社長に昇進して、サムスン電子の役員に就いた。スマートフォン、ギャラクシーなどモバイル製品のマーケティング戦略を総括してギャラクシーブランドの定着に貢献し、サムスン電子の看板女性役員としての地位を固めてきた。
「並外れた推進力」という評価を受けている。その一例として、サムスン電子スマートフォン「OMNIA(オムニア)」が2008年6月、シンガポールに初めてお目見えした時のエピソードが有名だ。
イ・ヨンヒ氏はOMNIAを持って街に繰り出して道行く消費者に声をかけ、OMNIAに直接触れさせ、その多彩な機能を体験できるようにした。この「ロードショー」により、OMNIAはシンガポール市場1位となった。
携帯電話のマーケティングが可能なのは、テレビ広告や大規模プロモーションイベントだけという常識を覆したのだ。この手法はのちに、サムスンの主要なマーケティング手法として用いられるようになった。
イ・ジェヨン会長は、人材と技術を最も重要な価値として掲げる。性別と国籍を問わず、世の中を変えられる人材を迎え、養成しなければならないと言及してきた。2020年8月の女性人材懇談会では「有能な女性が能力を十分に発揮して次世代リーダーとして成長し、手本となるような組織文化をともに作っていこう」と呼びかけてきた。
韓国財界では、能力と成果のある女性副社長を社長に昇進させ、女性人材に成長ビジョンを提示して果敢に挑戦できるチャンスを作ったという評価が出ている。
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