◇「団結できた」
職員らは読書討論会をどう見ているのだろうか。
読書し、討論するための準備は負担にならないのだろうか。本の内容は難しい。質問のレベルも高い。
にもかかわらず、職員らは総じて、この読書討論会の意義に共感し、やりがいを感じるようだ。
コンサルタントとして勤める50代の職員は……。
「本が難しく、読書感想文を書くのが面倒に思えた。だが、実際にやってみると、若い職員のメンター(相談役)になったようで、興味深い取り組みだった。哲学的なテーマを話すということも、他にはない」
20代のマーケティング職員は……。
「互いにコミュニケーションを取り、さまざまな意見を聞くことで、団結できたように思う。過去のことを振り返る契機にもなり、良かった」
◇「職員の尊厳を高める組織文化」
韓国の中堅ソフトウェア企業「永林院ソフトラボ」のクォン・ヨンボム代表が読書討論会を熱心に開くのは、彼がただ「読書マニア」である、というだけではない。これが「職員一人一人の尊厳を高める組織文化」になり得るという考えからだ。
クォン代表はこの取り組みの意義を次のような言葉で説明する。
「尊厳を回復することと、発展を目指すこと。この二つを掲げて、企業文化を醸成するための、最も適した方法が読書だと思う。本を読み、討論し、考え方に変化が生じる。その結果、文化が形成される。昼には読書討論会、夕方には小グループで老若男女が一緒にワインを飲めば、対話が円滑になる。共同体意識がさらに高まって相乗効果が出る。これを組織として定着させることが肝心だ」
◇「良い問いを投げかける」
クォン代表は「永林院ソフトラボ」が上場する前にも、「ハンマウム協議体」という名称で読書討論会を開いた。
週2回欠かさず参加し、それを3年間続けた。自身も含め、20~60代の多様な年齢層が調和し、打ち解け合いながら、会社は急速に成長し、その結果、韓国新興のコスダック市場に上場できた――これがクォン代表の説明だ。「ヤングウェイ協議体」もこの延長線上にある。
協議体において、クォン代表が心掛けているのは、経営に関する話題をしたり、自分の意見を強要したりしないこと。
「私の役割は、良い質問を投げかけること。私は職員と直接、対話するわけではない。水平的な組織運営と自律経営が基本理念だ。職員に『自分は尊厳のある存在である』ことをしっかりと胸に抱いてもらい、人生がよい方向に進むよう願っている」
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