SDGs~韓国の取り組み
韓国では11月24日からカフェやコンビニエンスストアなどでの使い捨て用品の使用制限が強化された。しかし、同日午後、ソウル市江南区(カンナムグ)のフランチャイズ系カフェを訪れると、普段と変わらない光景が見られた。店内には10人あまりの客がいたが、テーブルの上にはプラスチックのふたがついた紙コップが置かれ、プラスチックのストローを使う姿も見られた。
カフェのレジの横には大きさ別に分類されたプラスチックカップが山積みになっていた。客はレジの前で行列を作っていたが、売り場の従業員は1人だけ。使い捨てカップまたは再利用できる多回用カップのどちらを希望するのかについて尋ねていなかった。従業員は「お客さんにリユーザブルカップを渡す時もあるが、今は従業員が1人だけなので、使い捨てカップだけを出している」と話した。
韓国環境省によると、「資源の節約とリサイクル促進に関する法律」施行規則によって、コンビニなど小規模小売店でのビニール袋無償販売が取りやめになった。また、食堂やカフェでは、使い捨て紙コップやプラスチックストロー・かき混ぜ棒の使用が制限された。今回の使い捨て用品の使用制限拡大措置は、2019年に大型店でビニール袋使用が禁止されて以来、初めての拡大措置だ。
MONEYTODAY取材陣が、ソウル市江南区や松坡(ソンパ)区を訪れると、事業主らは使い捨て用品をそのまま使用していた。江南区のカフェ店主(28)は「今、店内で使っている使い捨て用品はプラスチックストローだけだ。紙ストローに変えると質感や味が変わるため、お客さんの反発が懸念される」と話した。
プラスチック製のストローは禁止になったが、紙やガラス、ステンレスなどでできたストローやかき混ぜ棒は使用が可能だ。また、浄水器に備え付けられた封筒型紙コップや、自動販売機に使われる紙コップは制限対象にならない。
1年間の啓発期間中、使い捨て用品の代替品に悩むという声もあった。フランチャイズ系カフェのアルバイト(20代)は「店内にはプラスチックストローやスティック、紙コップホルダーがある。プラスチックストローは紙ストローに変更するつもりだが、スティックはプラスチックの他に代替品がない。環境に配慮した政府の方針には同意するが、紙ストローを使うと味が違う、と抗議するお客さんもいて悩ましい」と本音を語った。
韓国政府は昨年12月31日、関連法を改正・公布し、「使い捨て用品使用制限」を守らずに従来通り使用し続けたり、無償で提供したりした場合には300万ウォン(約31万円)以下の過料を賦課できるようにした。だが、韓国環境省は、使い捨て品規制の詳細について発表し、1年間過料を賦課しない「参加型啓発期間」を設けることを決めた。
この日からビニール袋の使用が禁止されたコンビニ・製菓店では、紙袋に切り替えているところが多かった。松坡区の製菓店経営者(49)は「政府の方針に従い、ビニール袋の代わりに紙袋を使っている。紙コップやプラスチックカップ、プラスチック麻袋などの使い捨て品がまだ店内に残っているが、なくなるまでは使おうと思う」と話した。
一方、江南区のコンビニ店(49)は「開店した2年前からビニール袋ではなく紙袋を販売しているが、雨の日は紙袋だと濡れて破れるので、雨の日に限ってビニール袋を売っていた」という。今後は常に紙袋を販売せざるを得ないが、「雨の日には紙袋だとお客さんから苦情も来るので、代案が必要だと思う」と話した。
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