北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記は「政治決断」さえすれば、いつでも7回目の核実験を強行できると考えられている。米中間選挙前に踏み切るとの予想もあったが、決行しなかった。
外交関係者の間では、日本や米国、韓国、中国などが集まる来週の東南アジアでの多国間会議期間が「契機」になり得るとの観測も慎重に提起されている。キム総書記が自身の存在感を明確に示すため、主要国首脳が一堂に会した時点を、核実験または大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の契機に活用する可能性があるためだ。
今月10~13日にはカンボジアで東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議▽15~16日にはインドネシアで主要20カ国(G20)首脳会議▽18~19日にはタイでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議――が相次いで開催される。
一連の会議期間中にバイデン米大統領、岸田文雄首相、ユン・ソンニョル(尹錫悦)韓国大統領が首脳会談に臨む可能性が高い。日米韓は最近、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射などに対抗して安全保障協力の強化に乗り出しており、北朝鮮がけん制に乗り出す可能性は十分に考えられる。
ただ、変数が一つある。中国の習近平国家主席が今回のG20やAPEC首脳会議に出席するとみられることだ。もし北朝鮮がこの時期に核実験を実施するなら、習主席に相当な負担になりかねない。
北朝鮮がG20会議などの前後に核・ICBM試験を試みる場合、各国首脳がこれを糾弾し、中国の責任を取り上げる可能性も排除できない。
中国も北朝鮮の挑発と関連して「米国責任論」「制裁無用論」を主張しながらも、核開発に対しては「反対する」との立場を表明してきただけに、北朝鮮が核実験を敢行すれば中朝関係も再び冷却期を迎える可能性がある。
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