現場ルポ
韓国は4日、96回目の点字の日を迎えた。点字の日はハングル点字が作られた1926年11月4日を記念する日だ。点字の日を控えた2日、視覚障害者とともに街を歩き、まだ十分とは言えない点字表記の現状を取材した。
視覚障害者で韓国視覚障害者連合会の研究員として働くホン・ソジュンさん(42)。2日に訪れた永登浦アートホールの階段の取っ手で、歩みを止めた。点字を読んだホン氏はこう指摘する。
「書かれてあるのは『下り』だけ。だが、これは取ってが下に伸びているので、誰が触ってもわかる。視覚障害者も階段を利用するので、下れば何階になるのか、どんな施設があるのかを、知らせてほしい。その方が、視覚障害者の方にはるかに役立つでしょう」
点字内容だけでなく、点字規格にも足らない点が多い。点の間隔や高低が規定によって異なれば、点字を読むことができない。「形式的に点字をつけているだけなので、このようなことが起きる」と不満を語った。
点字の有無は視覚障害者の健康を脅かす要因にもなる。例えば、賞味期限に点字が記されていなければどうなるか。
韓国消費者院が2~4月に実施した調査によると、牛乳40個の製品のうち点字表記があるのは1個だけ。それさえも賞味期限の点字はなかった。視覚障害者が変質した食品を摂取する危険が一般人に比べて高いということになる。「賞味期限が切れた牛乳を飲んで食中毒になるのではないか」。「私たちの動作障害者自立生活センター」に勤めるチェ・サンミンさん(43)はこう不安を語った。
彼らは点字の不備によって道を探すことから食べ物の賞味期限を把握することまで生活のあちこちで困難を経験していた。形式的に付着された点字は内容も規格も合わず、これさえも全くない場合も多かった。
視覚障害者は点字問題を繰り返し指摘し、改善の必要性を訴えてきた。だが、現実は容易に変わらないという。
ホン氏は「点字ボタンを製作する時、指針が変更されていてもそれがわからず、これまでのように作る場合がある。だから広報が非常に重要だと思う。規格が間違っていたり、意味のない内容が盛り込まれたりする点字ではなく、点字標準指針に合うものが商用化される社会が来ることを願う」と語った。
社会福祉学を専攻する大学2年生のウ・ハヌルさんは「点字図書が多くないので、読みたい本を思う存分読めないのが残念だ」と悔しがった。
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