現場ルポ
何よりも、喫煙者が暴言を浴びせたり、突っかかってきたりすることが、取り締まり員を心理的に疲れさせるという。
ある日、イ・ヒスク主務官が、喫煙者が悪口を言うので「今、悪口を言ったのか」と抗議した。すると喫煙者は「私が、いつあなたに悪口を言ったのか」「独り言だった」と言い放ったという。
キム・ジヒョン主務官も「『禁煙区域の外でたばこを吸ってほしい』と求めると、『はい』とだけ言って、無視するように吸い続ける喫煙者がいる」という。
取り締まり員が喫煙者に暴行されることもある。
先月26日、ソウル市江北区(カンブクグ)の水牛駅で、ある中年喫煙取り締まり員が、20代女性から暴行を受ける事件が発生した。女性は喫煙を指摘されると、膝蹴りするように、取り締まり員を数回蹴り飛ばし、カバンをつかんで8回、頭を殴った。
現行法上、公務員を殴れば、公務執行妨害罪で処罰される。しかし、取り締まり員は、警察官と違って相手を制圧する身体能力や装備がなく、現場での対応が容易ではない。
イ・ヒスク主務官は「ある時、取り締まりに不満を抱いた喫煙者が、保健所事務室まで訪ねてきて大騒ぎした。でも我慢するしかなかった」と打ち明けた。
大多数の喫煙取り締まり員が「期間制公務員」である点も、取り締まり員を萎縮させる。
少なくない喫煙者が取り締まりに不満を抱き、国民申聞鼓などを通じて苦情を提起する。ある喫煙者が2日間、申聞鼓の苦情14件を投稿したこともあるという。
取り締まり員は、周期的に契約を更新しなければならない。それゆえ、苦情が気にならざるを得ない。先述のふたりの主務官は5年で契約を更新する。
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