韓国、穀物自給率20%
新型コロナウイルスの感染拡大とロシアによるウクライナ侵攻などにより、平和な国際分業体制が崩れ「グローバルサプライチェーンの危機」が深刻化しています。韓国の事情を取材してみました。(シリーズ6/9)
◇OECD加盟国で最下位
このような国際食糧供給網の混乱は、韓国にさらに大きな衝撃を与えている。国内食料品市場は、鉱物やエネルギーを輸入して再加工する産業構造と似ている。食糧も輸入依存度が高く、国際穀物市場の価格変動に脆弱にならざるを得ない構造となっている。
韓国は昨年、食べ物の半分以上を海外から持ち込んだ。1990年代に韓国の食糧自給率は70%に達したが、以後、下落傾向が続き、昨年は45.8%まで落ちた。
飼料用を含めた穀物自給率はさらに悲惨だ。2020年には韓国の穀物自給率は20.2%で20%をかろうじて越えたレベルだ。これは経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国のうち最下位だ。
統計庁が国連食糧農業機構(FAO)と農産物市場情報システム(AMIS)の国別生産量・消費量を土台に調査した穀物自給率は19.3%と、さらに低い。
韓国は主食のコメの92.8%を国内で生産しているが、小麦(0.8%)、トウモロコシ(3.6%)、大豆(30.4%)などは自給率が非常に低い。ますます消費が減っているコメは余っているが、需要が増えている小麦やトウモロコシなどは、ほぼ全量を輸入に頼っているのが実情だ。
◇食糧自給率履行目標の後退
2020年には1717万トンの穀物を輸入する世界7番目の穀物輸入国であり、2020年に国内産業で使用する原料穀物の輸入率は79.8%と、8割に肉迫した。
国別食糧安保水準を比較評価する世界食糧安保指数(GFSI)は、2021年に32位で、OECD国家の中で最下位圏にある。輸出制限による全般的な国際価格の上昇は、輸入価格や国内物価にも影響を及ぼしている。
主要国の食糧や肥料輸出制限措置による価格上昇が、国内物価に及ぼした影響を分析した結果、輸出制限措置以後、肥料と穀物、維持価格がそれぞれ80%、45%、30%上昇した。
このように韓国がサプライチェーン危機に脆弱にならざるを得なくなったのは、これまで自給率を引き上げるのを疎かにしてきたためだ。政府は農産物価格が急騰した2008年から小麦の自給率を10%まで拡大すると公言したが、10年以上たった今も依然として1%を下回っている。
グローバルサプライチェーンの混乱にもかかわらず、国内食料品市場を安定させるためには、体系的な公共備蓄政策が必要だが、これさえも周辺国の水準には及ばない。
(つづく)
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