Startup Story ~~ 成功のカギ
UFOバーガー チョン・セヒ代表
「もともと、ファストフードのシンボルはハンバーガーだったのに、なぜこうなってしまったのか?」
老若男女、社会的地位に関係なく、ハンバーガーは忙しい現代人が、とりあえずの一食を済ませるための代表的な即席メニューだった。だが最近、海外の有名ブランドが相次いで韓国に上陸すると、ハンバーガーはナイフで切って食べなければならないほどの高級食に進化した。
とても分厚い。だからナイフを使う必要がある。ソースが垂れ落ちる。その都度、拭きながら食べなければならない。「だからMZ世代(20〜30代)がデートで避けたいメニューの第1位になった」。手作りバーガー専門の「UFOバーガー」のチョン・セヒ代表はこう解説する。
実際、アンケート調査プラットフォーム「ティリオン」(Tillion)が国内の未婚男女684人に聞いたところ、「デートの時に一番避けたいメニュー」として、男性の26%、女性の37%が「ハンバーガー」を選んだ。
「UFOバーガー」はこの状況を解消するため、ハンバーガーに使うパンをくっ付けた。特許を取った機械による圧縮技術で、パンの端を引っ付けて「ソースが落ちない3次元立体型バーガー」を作った。独特の形であり、食事を取り上げるユーチューブチャンネル「モッパン」でも定番メニューとしてたびたび登場、「フライトプレートバーガー(飛ぶ皿のようなハンバーガー」という愛称もついた。
「機械も機械だが、その型枠に合うパンを見つけるために、国内のパン屋をくまなく探し回った。ハンバーガーは圧縮されて小さく見えるが、圧縮前には15㎝ぐらいある。これに合わせてくれるというパン屋は、たった1軒だけだった」
チョン代表はこう振り返る。
飲食業のフランチャイズは、次の2つがダメなら失敗する。一つは、メニューの絶え間ない開発、もう一つは、ブランディング(ブランドを形成するためのさまざまな活動)だ。
「UFOバーガー」には国内トップの総合広告代理店「D.BLENT」が出資している。フランスの料理学校「ル・コルドン・ブルー」出身のシェフでもあるチョン代表がメニューの研究・開発を担当し、D.BLENTがブランディング・デザイン・マーケティングを進める形でコラボができあがった。
UFO独特のコンテンツなどにも一貫性を持たせるよう、毎週月曜日にこの2つの会社の代表と、デザイン、メディア、制作、コンテンツの各チームが全員参加して4時間以上の会議を開くという。鶏のぼんやりとした後ろ姿をイメージしたり、牧場の芝生にUFOの影を描いたりしたポスターなど、笑いを誘う広告は、すべてこの会議で出たアイデアだ。
チョン代表は韓食の世界化のためにトックカルビと白キムチを入れた「手作りトックカルビバーガー」などを開発、米国発の中華料理レストラン「パンダエクスプレス」からラブコールを受けたという。だが現時点では新型コロナウイルス感染拡大の余波で、協議は一時中断している。
海外で韓国固有のハンバーガーに強い関心が寄せられている理由は何だろうか。
「ファストフードブランド企業の大部分が、雑肉にプルコギの味と香りのするソースをかけて“プルコギバーガー”として売っている。だが、私たちは本物のタッカルビとプルコギを入れている。だから、健康とおいしさを同時に得ることができる」
これがチョン代表の見解だ。
早ければ今月末、加盟店の売上アップのため、新開発の「コストパフォーマンスバーガー」を発売する。さらにビーガン(菜食主義者)をターゲットにした「ビーガンバーガー」(仮名)も来年、披露する予定だ。
「独創的な食文化の経験を、お客さまに提供し、韓国ハンバーガーの定石を作り出していくつもりだ」
チョン代表はこう力を込める。
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