お金を稼ぐために就職するのに…
韓国の各分野で働き手が見つからないという問題が起きています。一方、20代の若者をみれば、仕事を見つけられずに苦しんでいます。この雇用の「ミスマッチ」、なぜ起きるのでしょうか。(シリーズ1/5)
◇深刻化する若者の就職難
新型コロナウイルスの感染拡大から日常が回復する中で、求人件数は多いのに若者は就職難にあえいでいる。
企業が即戦力を求める「中途採用選好」現象と、雇用市場の「ミスマッチ」が起きているためだ。結局、大企業と中小企業間の賃金格差など、労働市場の二重構造(両極化)を解消することだけが根本的な解決策――こう指摘されている。
統計庁によれば、今年8月の韓国の失業率は2.1%で、対前年同月比0.5ポイント下がり、歴代最低値を記録した。転職で仕事を探す過程で発生する一時的な失業などを除けば、事実上「完全雇用」水準だ。
それだけ働き口があふれているということだ。
同月の就業者増加幅は対前年同月比80万7000人で、8月としては2008年以後14年ぶりに多い水準だった。
しかし、20代の若者の事情は違う。
今年上半期の全体失業率は平均3.3%にとどまったが、同期間の若者(満15~29歳)の失業率は平均6.9%に達した。7月から8月に全体失業率が2.9%から2.1%へと下がる間、若者の失業率は6.8%から5.4%へと下がるのにとどまった。短期アルバイトをしながら求職活動をする事実上の失業者まで含む「拡張失業率」の場合、若者層は今年に入って毎月20%内外の水準を維持しており、8月も18%を記録した。
◇「雇用市場が好転した?」
ソウルの4年制大学を卒業し、故郷の南部・光州で就職活動をしているAさん(満29歳・男)――。
「上半期に5回以上、新入社員の募集に応じたが、全て落ちた。雇用市場が好転したというのは一体誰の話なのか分からない」
こう吐露した。
ソウルの4年制大学を卒業し、先月、ある金融会社に就職したBさん(満27歳・女)――。
「就職までに入社志望書を50~100通書くのは普通だ。理系より文系の就職がはるかに難しいようだ」
こんな感覚を持つ。
「売り手市場」が若者に当てはまらない。企業側が、教育のための費用と時間がかからず、直ちに実戦投入が可能な中途採用を好むためだ。随時採用が一般化された雇用市場で、大学や大学院を卒業したばかりの新卒生は相対的に不利にならざるを得ない。
国内5大グループ(サムスン、SK、現代自動車、LG、ロッテ)のうち、まだ新入社員の採用を維持しているのはサムスンだけだ。最近、全国経済人連合会が専門機関の依頼を通じて調査したところによると、韓国の売上高上位500位の大企業は、今年下半期の大卒新規採用人員のうち35.8%を中途採用で採用する計画だ。今年上半期の29.7%より比重がさらに高くなった。
「最終面接に行くと1、2人以外はほとんど職歴があった。職歴のある『中古新人』が多く、彼らの方が就職も上手なようだ」
Bさんはこう肩を落とした。
(つづく)
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