PBV(Purpose Built Vechile)――。文字通り解釈すると「目的基盤車両」だ。韓国の現代自動車グループは、これを新事業として推進しており、世界1位となるのが目標だ。PBV専用工場の建設計画を発表し、最近はコンセプトカーを公開するなど、世界の自動車メーカーの中でも最も早い動きを見せている。
PBVは、自動運転技術も加われば、単なる移動手段ではなく、様々な顧客のニーズに対応できる。例えば、移動式事務室や病院、店舗になることも可能で、ロボットと結合した配送システムとしての利用も考えられる。
起亜自動車は2024年末の完工を目標に、オートランド華城にPBV電気自動車専用工場を新設する計画だ。2025年から生産を開始し、年間最大15万台の生産能力を見込む。
起亜自動車は、物流とタクシー事業を中心に事業を展開している。今年2月にはボックスカーである「レイ」の1人乗りバンモデルを発売し、PBVの方向性を示した。5月には本格的な電気自動車PBVモデルの「ニロプラス」タクシーを発売した。7月にはボンゴEVを活用した冷凍車を発売した。
起亜自動車がPBV事業に力を入れるのは、今後のモビリティ産業の変化を予期しているためだ。国民大自動車運送デザイン学科のクォン・ヨンジュ教授は「今後、共用型の車両は増え、主要国の人口増加は停滞する。乗用車の需要は減り、物流が増えていく」とし、「自動車メーカーが、物流・特装市場に進出する」との見方を示した。
一方、海外企業によるPBV市場に向けた動きも活発だ。米国のGMは、昨年から電気商用車専門ブランド「ブライドドロップ」を立ち上げ、フェデックスやウォルマートなどの企業にEV600、EV410などを供給することにした。アマゾンも、電気自動車のスタートアップ企業リビアンと協力し、10万台のPBVを2030年までに供給する計画だ。
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