◇AI名を「芸名」として登録
AI作曲家のパイオニアとして名が知られる「イーボム」(EvoM)は2020年、新人歌手ハヨンのデビューシングル「Eyes on you」を手掛けた。この曲はプロデューサーのヌーボー(NUVO)とコラボし、ハヨンの作詞をつけて最終的に完成させた。AIが作った曲により、実際に歌手がデビューした最初の事例だった。
しかしAIは、自身の創作物に対する著作権を行使できない。
韓国の著作権法上、著作物は「人間の思想または感情を表現した創作物」、著作者は「著作物を創作した者」と定義する。結論として、人間の創作物だけが著作権法の対象とされているのだ。
韓国著作権保護院によると、AI作曲家のイーボムは著作権協会にも登録されているが、ここでは開発者が「イーボム」という芸名で登録し、著作権を行使している。
◇「別の権利として認定」を
海外でもAIの著作権は明確には認められていない。
AI科学者スティーブン・タラー(Steven Thaler)が「芸術作品を創作するAIアルゴリズム『クリエイティブマシン(Creative machine)』を著作権者として認めてほしい」と申し立てた。タラーはこのアルゴリズムについて「人間の介入がほとんどない状態で独創的に芸術作品を創作した」と主張した。
だが、米国著作権局(USCO)は今年2月、これを受け入れず、棄却した。
ただ、こうした主張は広がりを見せている。
AIの創作活動の需要が増加しているため、いかなる形であれ、著作権を認めるべきだとの声が出ているのだ。
韓国知識財産研究院院長で中央(チュンアン)大産業保安学科教授のソン・スンウ氏は「AIによる創作物はデジタル形態であるため、複製が容易だ。今は初期市場であり、その被害は大きくないとしても、今後は複製など侵害の程度が深刻になるだろう」と指摘する。
AI自らが創作物を生み出すというレベルまで達したが、これについての権利は空白の状態が続いている。ソン院長は「人に付与される著作権と同じ概念で考えるのは難しい。AIの権利は『創作権』とは別の権利として認定する必要がある。現行の著作権法を改正するより、別途の法律を作るべきだ」と述べた。
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