グループBTSの釜山コンサート(10月15日)が約1カ月後に迫るなか、この公演をめぐるさまざまな問題点が浮き彫りになっている。2030年国際博覧会(万博)の釜山誘致の活動の一環として企画された行事なのに、むしろ逆効果になるのではという懸念の声さえ上がっている。
◇会場変更
当局は先月24日、コンサートを「釜山・日光(イルグァン)の特設ステージで開催する」と発表していた。ところが、交通の便や周辺のインフラに問題があるとの指摘が相次ぎ、釜山市とBTS所属会社側は「より快適で円滑な観覧環境を整える」ことを理由に会場変更を検討。今月2日になって、釜山中心部に近い「釜山アジアド主競技場(Busan Asiad Main Stadium)にする」と明らかにした。これを受け、当局は公演1カ月半前に、行事の下絵から描き直さなければならない状況に追い込まれた。
◇費用
今回のコンサートは無料公演のためチケット収益がない。経費は計70億ウォン以上かかる見込みだが、釜山市は「市は後援機関」「場所の提供や交通・宿泊などを支援する立場」との理由から負担しない方針だ。経費はBTS所属事務所BIGHIT MUSICとその親会社HYBE(ハイブ)、スポンサー企業が抱え込む形になる。だが、どういう割合で負担するか、まだ決まっていないようだ。
BIGHIT MUSICなどによると、今回は主催側が負担する形で、無料のオンラインストリーミングサービスを提供することが求められている。公演の様子を世界に発信するとともに、釜山市の認知度を高める意味合いもある。こうした事情もあり、釜山市は市民から厳しい視線を投げかけられている。
◇宿泊・交通対策
会場変更によって、日光周辺の宿泊予約取り消し▽釜山アジアド主競技場付近の新たな予約――に絡んだ「ぼったくり」の混乱が再燃しないよう対応策が求められている。
また、釜山港国際旅客ターミナルの屋外駐車場ではリアルタイムで公演を観覧できるよう大型スクリーンも設置されるため、この付近での交通安全対策も講じる必要がある。
10月になれば、韓国高速鉄道「KTX」や飛行機などのチケット前売りをめぐって騒動が起きる可能性が高く、予防策を打ち立てて混乱を防ぐべきだという声も出ている。
◇ファン「期待と憂慮が半分ずつ」
今回のコンサートに対するBTSファン(ARMY)の反応は期待半分、憂慮半分のようだ。
40代のファンは「公演のそもそもの目的を達成するために、釜山市が安全対策などを徹底することが肝心だ。会場選定段階から右往左往しているようで心配だ」と話す。
30代のファンは「釜山の人々も含め、みんな万博誘致では一丸となっていると思う。外国の人々に、釜山の多様な魅力を感じてもらえるよう、しっかり公演を準備してほしい」と求めている。
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