危険な工事「てきぱき」施工の精度アップ
技術発展に伴い、韓国の産業界の各分野で自動化が加速しています。自動運転技術が発展し、自動車や各種ロボットに続き、船舶や建設機械まで無人システムが広がる雰囲気になっています。現状を取材しました。(シリーズ2/5)
重大災害処罰法の施行で、いつにも増して安全の重要性が大きくなった建設現場でも無人化の風が吹いている。特に建設会社は作業員の安全確保はもちろん、施工の正確度を高めるために工事現場にロボットを続々と投入している。
韓国で労災死亡者が最も多く発生しているのは建設現場だ。業界では建設ロボットなどを活用すれば工事現場で発生する人命事故を減らせるとみている。このため、建設ロボットは高危険・単純作業だけでなく事故予防と安全管理など、多様な分野で活用されている。
◇労災死亡1位の建設業…無人化で事故の危険を減らす
現代建設やサムスン物産の建設部門、GS建設、ポスコ建設など大手建設各社は、工事現場にさまざまなロボットを活用している。危険な環境で作業する作業員の代わりにロボットを投入すれば、安全性を確保でき、施工精度も高めて工事費節減も期待できるためだ。
特に今年1月27日から重大災害処罰法が本格施行され、建設現場の安全管理問題が大きくクローズアップされた。韓国で昨年の労災死亡者は828人だったが、そのうち半分を超える417人(50.4%)が、建設現場で事故に遭った。
建設現場での安全事故は、ほとんど安全装備の未使用、作業熟練度の不足、労働者の不注意やミスなどによるが、業界では、ロボットはこのような事故を減らすのに役立つとみている。
ある大手建設会社関係者は「安全事故予防と正確な施工などのために建設現場にもロボットが導入され始めたが、今後さらに多くの現場で建設ロボットが活用されるものとみられる」と明らかにした。
韓国の会計法人「サムジョンKPMG」も未来の建設産業と関連した報告書で「建設現場でロボットとドローンを活用し、作業員が接近しにくい場所や業務を代替して現場の事故率を減少させることができる」と指摘。「作業員が危険な作業をせず、工程を立てるような他の業務に集中することで、効率性の向上にも役立つ」と明らかにした。
◇天井ドリル穴開け、耐火材上塗り、アンカー施工…安全管理の役割まで
建設ロボットは、天井ドリル穴開けなど施工作業だけでなく、有害ガス感知、瑕疵(かし)点検など多様な分野に活用されている。
現代建設は2020年から多関節ロボットを建設現場に適用している。多関節ロボットに熟練作業員がやっていた業務パターンをプログラミング化して適用し、ロボットが自動的に動けるようにした。
また、作業員が保護装具を着用してリフトに上がってやっていた天井ドリル穴あけ作業を代わりに遂行する無人施工ロボットも活用中だ。
現代建設は無人施工ロボットを塗装、溶接作業などでも活用できるようにする予定だ。
サムスン物産も昨年末から、高危険作業に代わるロボット技術を建設現場に本格的に導入している。
現在、牙山のディスプレイや平沢の半導体などの現場で活用されているアクセスフロア(Access Floor)施工ロボットは、自ら動き、重さ10キロの上部パネル設置作業をする。
サムスン物産はこの他にも耐火吹き付け(耐火材の上塗り)とドリル穴あけ、アンカー施工など単純で危険度の高い作業をするロボット技術を開発し、現場に投入している。
GS建設は2020年、韓国で初めて米ボストン・ダイナミクスの4足歩行ロボット「スポット(SPOT)」を建設現場に導入した。スポットに「ライダー(LiDAR、レーザー測域センサー)」、360度カメラ、モノのインターネット(IoT)センサーなど多様な先端装備を設置し、建設現場での実証試験を実施した。
GS建設はスポットをマンションや劇場、道路建設の仕上げ現場に投入し、欠陥の点検や品質検査などの監理に活用している。
また、スポットに多様なIoTセンサーを装着し、危険区間の有害ガス感知、熱感知などを通じた建設現場の安全管理など多様な分野に活用する計画だ。
ポスコ建設は、トンネル工事に無人で作動する自動歩行ロボットを活用している。自動歩行ロボットにレーザーで地形を測定する「ライダー」装備と高性能カメラを搭載し、トンネル内部の施工ミス、亀裂などを確認している。
(つづく)
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