2024 年 12月 28日 (土)
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尹大統領の対北朝鮮「大胆な構想」とは (下)

15日、ソウルで開かれた「光復節」の式典で演説する韓国のユン・ソンニョル大統領(大統領室提供)©news1

◇包括的構想……経済・政治・軍事ロードマップも

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が祝辞で言及した経済支援措置について、早くも「非核化を実質的に引き出すことができるのか」と疑問視する声が上がっている。

これについて、キム・テヒョ(金泰孝)国家安保室第1次長は「(経済だけでなく)政治・軍事部門協力ロードマップも準備している」と明らかにしたうえで「『大胆な構想』は『包括的だ』」と表現した。

大統領室関係者は「軍事と政治分野の計画はすべて準備した。ただ、軍事・政治的措置は交渉の過程で論議してこそ、互いに本気度を確認でき、真意を把握することができる」と話した。現時点で軍事・政治的措置を羅列することは宣言的意味にとどまるという趣旨だ。

この関係者は「経済分野では、経済協力の方法が最終的に共同繁栄に進まなければならない。軍事分野では緊張緩和措置から信頼構築へ、政治分野では平和構築措置から平和定着へ、それぞれ引き上げられる必要がある」と強調した。

北朝鮮で開かれた全国非常防疫総括会議の討論で発言する金与正・朝鮮労働党副部長(朝鮮中央テレビのキャプチャー)©news1

◇実際に非核化すれば、共同経済発展委を設立

キム次長によると、北朝鮮と「包括的な合意」が導き出された場合、核の凍結→申告→査察→廃棄という非核化の各プロセスに応じた経済協力を本格化させるため、「南北共同経済発展委員会」を設立し、稼動させるという。

初期の非核化協議の段階では「朝鮮半島資源・食料交換プログラム」と「北朝鮮民生改善モデル事業」が進められる可能性もあるが、核心的な経済事業については、非核化措置が実行に移されるプロセスになって具体化される形だ。

核心的な経済事業は、ユン大統領が祝辞で言及した次の5点だ。

(1) 発電と送配電インフラ支援
(2) 国際交易のための港湾・空港の現代化
(3) 農業生産性向上のための技術支援
(4) 病院・医療インフラの現代化支援
(5) 国際投資および金融支援

この場合、国連制裁との関わりが問題視されるが、大統領室関係者は「その際、必要な項目を識別して(国連制裁の一部解除を含めて)国連と協議していけばいいだろう」との見解を示した。

ただ「大胆な構想」について、北朝鮮当局と事前に意見のすり合わせをしたわけではないという。あくまでも「現時点で考えられる最も現実的で柔軟な提案を作った」(同関係者)というものだ。

また▽北朝鮮の核に対する「抑止(Deterrence)」を維持しつつ▽核開発の意志を「断念(Dissuasion)」させる一方▽いつでも「対話(Dialogue)」の窓口は開かれている――という「3D」を維持しながら、北朝鮮に決断を促すという。

キム次長は「韓国政府は北朝鮮当局とともに、非核化の方法と南北共同経済発展計画を具体化していきたい。このプロセスにおいて、国際社会の積極的な参加・支援を誘導するつもりだ。北朝鮮の反応を期待している」と述べている。

©news1

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