現場ルポ

ソウル・汝矣島(ヨイド)IFCモールで、オンラインブランド品プラットフォーム「バラン(BALAAN)」の「コネクテッドストア」1号店は開店を翌日に控えていた。コネクテッドストアとは、バランが顧客との接点を広げるために作った初めての「オムニチャンネル」(オン・オフラインを繋ぐ窓口)だ。
先月28日午後2時30分ごろのIFCモール内。開店の前日のバラン・コネクテッドストアの店内は色とりどりの色彩で飾られ、遠くからでも一目でわかる。売り場前のファサード(正面の外観)にもダイナミックな映像が流され、まるで海外旅行に行っているような感じを与える。
飛行機のチケットやカメラなど店内に配置された多様な小物も「会社の外」(Out of Office)という売り場のコンセプトと合致した。エキゾチックで清涼感のある香りも、売り場の雰囲気と調和している。店舗の至る所に広がったその香りは、バランが調香師とコラボして作ったシグネチャーの香りだ。
◇個性あふれる衣類やファッション小物
売り場に入って右側は、見慣れたアイテムが目を引いた。
最近、MZ世代のイットアイテム(今注目のアイテム)として浮上しているメゾンキツネのエコバッグからジャックムスのTシャツまで、いわゆる「新ブランド」が並んでいる。コンテンポラリー衣類を扱う「トレンドラグジュアリー」ゾーンである。着こせない服よりは馴染みのあるブランドで、MZ世代の好みに合わせて作られた。
もう少し売り場の内側に入ると、ゴルフキャディバッグと帽子などが陳列された「スポーティー&リッチ」ゾーンも設けられていた。MZ世代のゴルファーがよく着るPXG・ジェイリンドバーグなど人気ゴルフブランドのキャディバッグや衣類・帽子が並んでいる。
店内中央に設けられた「メゾンバラン」も暖炉にブランドの箱が燃えているような演出が目を引いた。
客はこの空間で、フィッティングルームの順番を待ったり、商品を包装する時間を過ごしたりできる。このほか、ロゴマニアのゾーンでは「ペピ(ファッションが好きな人たち)」の視線を引くような個性あふれる衣類やファッション小物が陳列されていた。

何よりも最も目立つ空間は、売り場の真ん中に設けられたフィッティングルームだった。
服を試着したり、認証ショット(証拠写真)も撮ることのできる空間だ。4つのフィッティングルームがそれぞれ異なるコンセプトで構成されている。
例えば、最初のフィッティングルームはふわふわのカーペットが敷かれている。反対側のフィッティングルームはトイレを連想させる空間だ。
特に、4つのフィッティングルームのうち、スマートミラーが入ったフィッティングルームは、MZ世代の好奇心を刺激する。試着を希望する商品をフィッティングリストに入れ、QRコードでフィッティングルームの利用を申請すれば、通知を受けることができる。
ただ、店内ではカードで商品決済ができないという点が気にかかる。品物を購入したい場合は、QRコードで商品をスキャンした後、バランのアプリケーションを通じてのみ決済が可能だ。
◇MZ世代に適した空間
バランのコネクティットストアは、単に商品を購入する空間ではなく、一種の「オムニチャンネル」であり、「ショールーム」の役割を果たすものとみられる。「お楽しみの要素」や「経験」を重視するMZ世代に適した空間であるわけだ。
IFCモールは購買力のある25~45代の客が集まる地域だ。
特に、昨年開店したザ・現代ソウルの集客効果とともにアップル、セフォラなど周辺のグローバルブランド利用者の訪問が重なり、その恩恵を享受するものと予想される。
コネクテッドストアのオープンを総括したリテールのキム・ウネ副代表は「バランのコネクテッドストアはオンラインラグジュアリープラットフォームがオフラインで客と出会う新しい挑戦」とみる。「商品の在庫と価格、フィッティングルームの利用など、これまでのオフラインショッピングの限界を越えてバランが提案するラグジュアリーショッピングの真髄を体験できる空間」と説明している。
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