2024 年 12月 22日 (日)
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[KWレポート] 賞味期限から消費期限へ (4)

求められる政府の追加対策

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韓国で来年1月から食品などに表示されている「流通期限(賞味期限)」が「消費期限」に改められます。食品業界が期待を膨らませる一方、保管をめぐる問題への懸念も持ち上がっています。新制度に向けた動きを取材しました。(最終回)

韓国のある大型スーパー本社の品質管理チーム。最近、いつにも増して忙しくなっている。

消費期限表示制度の施行が半年後に迫ったためだ。こうした大々的な変化は、実に38年ぶりだ。

このスーパーは商品MDにより随時、消費期限情報を知らせている。食品メーカーなどの協業各社にも消費期限表示を設けるように要請したところだ。

同スーパー関係者は「品質管理チームの主導のもと、下半期に消費期限の導入準備の状況を繰り返し確認する。賞味期限が表記された商品が、店頭に入荷・陳列されないよう、万全に期す必要がある」と述べた。

◇「具体的で明確なガイドライン」を

1985年から37年間維持されてきた賞味期限制度が、来年から廃止される。その代わり消費期限に全面変更されるため、大型スーパーやコンビニなど流通企業は慌ただしくなったようだ。

真っ先に、消費期限表示を適用することになるのは食品メーカー。ただ、それに合わせて流通運営システムも再整備する必要がある。食品を長時間、最大限安全に流通させられるよう温度を管理する「コールドチェーン」を整えるのも必要だ。

流通現場では「政府による具体的で明確なガイドラインがさらに必要だ」という指摘が多い。

ある流通業者の関係者は「各省庁で大枠の方針だけを提示して、精密なガイドラインは調整すると聞いている。食品メーカーと引き続き議論しているが、政府のガイドラインが出れば、それに沿って適用する」と話している。

また、別の大型スーパーの関係者は「現時点では、賞味期限が表示されたPL(自社ブランド)・ダイレクトソーシング製品の残余在庫数量を確認し、売り切る予想時期を把握するぐらい。食品メーカーと状況を共有しながら対応する」と答えた。

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法改正の趣旨通り、賞味期限から消費期限に変更されれば、食品廃棄物の量が大きく減少する見通しだ。

コンビニ業界関係者は「流通業者は基本的に先入先出法(入庫した順に商品を出庫することを前提に出庫単価を決める方法)で商品を陳列している。消費期限に変われば、製品の販売期間が延び、いかなる場合でも食品の運用に余裕が生じ、廃棄の負担を減らすことができる」と述べた。

ただ、消費期限によって在庫管理期間が延びると、在庫管理費用が追加で発生することも考えられる。

賞味期限は実際に食べられる期間の60~70%に設定されるが、消費期限はそれが80~90%となる。このため、インフラが相対的に脆弱な中小流通業者にとっては、費用負担が大きくなりかねない。

◇周知徹底どうする

消費期限制度の施行前までに、政府が国民向けのキャンペーンを大々的に展開すべきだという声も多い。

ある大型スーパーの関係者は「消費期限の導入、それが周知されなければ、消費者はこれまで慣れ親しんできた賞味期限を基準に購入するおそれがある。早い時期に入庫した商品は回転率が落ち、結局、これまで以上に在庫が増える状況になるかもしれない」と懸念した。

物価高時代に脚光を浴びてきたいわゆる「在庫処分」売り出しセールも、消費期限の導入以降に大幅に減ると予想される。これまで大型スーパーやコンビニは売り出しセール(ラストオーダー)サービスを積極的に展開してきた。

これは、賞味期限は迫っているものの商品に問題がないため消費者は安価で購入することができる。売り場は廃棄を減らすことができる。双方がウィンウィンだったからだ。

流通業界関係者は「販売期限が延びて変質問題が発生すれば、責任の所在をめぐり法的紛争が起きる可能性が高まった。新たな制度が安定し、定着するように、政府が現場の声に耳を傾け、現実に合わせて対策を補完する必要がある」と訴えている。

(おわり)

「賞味期限から消費期限へ」はNEWSISのキム・ヘギョン、パク・ミソン、キム・ドンヒョン、チャン・シボクの各記者が取材しました。

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