韓国で、国防技術品質院など政府が出資する政府出捐機関で武器体系の試験評価のプロセスなどに参加していた佐官級軍人たちが、除隊とともに就職審査を受けずに防衛産業業者に就職して影響力を行使している。制度の死角が退職軍人と防衛産業業者の癒着につながりかねないという指摘が出ている。
MONEYTODAYの取材を総合すると、この3年間で10人以上の佐官級軍人が国防科学研究所、防衛産業技術支援センター、国防技術品質院、国防技術振興研究所などの国防政府出捐研究所から、除隊した直後に就職審査の手続きなしに防衛産業企業に就職したことが確認された。
彼らは防衛事業庁所属の公職者として政府出捐硏究院に派遣の形で勤めた後、すぐにハンファグループの防衛産業系列会社「LIGネクスワン(LIG Nex1)」などの防衛産業に就職した。さらに彼らの一部は就職予定の状態でありながらも除隊せず、引き続き勤務中であることが明らかになった。
◇「就職審査の手続きを迂回」
公職者倫理法第17条は、4級以上の公務員(中佐以上の軍人)を対象に「退職日から3年間、退職前の5年間所属していた部署や機関の業務と密接な関連性があれば就職できない」と規定している。
公職者倫理法施行令によると、防衛産業庁とその所属機関に勤めた中佐以上の軍人は、大統領令に定める特定分野の公務員と公職関連団体の職員として退職前5年間の職務と関連した業者や機関に就職するためには、退職後3年間の就職審査を受けなければならない。
しかし、一部の防衛事業庁所属の中佐は、除隊前に3年以上政府出捐研究所に勤めながら、就職審査の手続きを迂回し、自由に職務関連の防衛産業企業に就職している。大企業の場合、大部分は部長、中小企業の場合は常務として就職する事例が多いとという。
これは現在、公職者倫理法施行令が防衛事業庁の監督を受ける公職関連団体の職員のうち、国防相が任命する本部長級以上の職員や首席級以上の職員だけを就業審査対象とするという死角のため可能なものと見られる。
◇「制限なく業者に就職」
問題は国防政府出捐研究所が、事業者選定を含む防衛事業関連の意思決定と、これに伴う各種利権に影響を及ぼしているという点にある。
国防政府出捐硏究院の役職員と所属の軍人は、事業者を選定する提案書評価に委員として入札業者に点数を付けることができる。軍の兵器体系所要決定関連会議体、各種許可手続き、兵器体系試験評価過程などにも参加するなど、防衛事業全般に及ぼす直接、間接的な影響力はかなり大きい。
ある業界関係者は「現在の防衛事業システム内で防衛事業庁が単独で決定し推進できる事案はほとんどない。防衛事業庁から派遣された軍人は政府出捐研究所で大きな影響力を及ぼしながらも、制限なく業者に就職している」と説明している。
©MONEYTODAY