2024 年 11月 30日 (土)
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投資家を魅了…知識・教養専門のウェブトゥーン (下)

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「ノーチラス(NAUTILUS)」 イ・サンオプ代表

イ・サンオプ代表©MONEYTODAY

このようなイ・サンオプ代表の事業計画に、スタートアップ・IT企業の大物たちは「大金」を出した。

事業モデルへの共感もあった。だが、決定的だったのはイ・サンオプ代表の検証された経営能力だった。業界では、イ・サンオプ代表は危機に陥った「レジンコミックス(Lezhin Comics)」を復活させた人物として有名だ。

「レジンコミックス」が、作家との不和や100億ウォンを超える営業損失などで「倒産直前」だった2018年、イ・サンオプ代表が就任。会社を劇的に正常化させた。2020年にはウェブ小説・コミックの大手「キダリスタジオ(Kidari Studio)」にM&Aを仕掛け、回収にも成功した。「再創業」というニュースだけで“大金”がついてきたわけだ。

レジンコミックスを経営していた当時、競合企業だった「タパスメディア(Tapas Media)」のキム・チャンウォン代表や、「優雅な兄弟たち」のキム・ボンジン代表が、常にマーケティングや経営についてアドバイスしてくれたという。

「たくさんの方々が事業モデルとビジョンに共感してくださった。これまでの道のりが間違っていなかったと思い、涙が出るほど感謝しました」

イ・サンオプ代表はこう振り返る。

◇知識・教養分野では映像よりウェブトゥーンが効果的

知識・教養コンテンツ分野で創業することになったのには、趣味とも関わりがある。

イ・サンオプ代表は、米ニューヨークの芸術大学「スクール・オブ・ビジュアル・アーツ(School of Visual Arts=SVA )」に留学していた際、ディスカバリーチャンネルを観ながら動物や機械、歴史などの楽しさにハマった。「知識・教養オタク」だったのだ。

当初、バラエティやドラマではなく、知識・教養コンテンツの沼に入っている自身のことが不思議だったという。

「ですが、意外にも知識・教養オタクは多いということがわかりました。ディスカバリーチャンネルの純利益がネットフリックスより高い、ということを知り、この分野の市場をウォッチするようにしました」

しかし、なぜそれがウェブトゥーン・プラットフォームなのか――。この問いに、イ・サンオプ代表は「少なくとも知識・教養分野においてはウェブトゥーンというジャンルが、映像ジャンルよりも効果的」とみる。

「YouTube動画などでコンテンツを消費するのが時代の主流ですが、映像による受動的な学習は知識を習得するのに適していません。せめてタッチという能動的な操作を通じて、学習速度を自ら調節するウェブトゥーンが知識・教養ジャンルに最も適していると思いました」

「ないものがない」という総合ショッピングモール「クーパン(Coupang)」が会ったとしても、「ムシンサ(MUSINSA)」「オヌレチプ(今日の家)」のように、特定分野の商品を販売するバーティカルコマースは、競争力を失わない。「ウェブトゥーン・プラットフォーム市場でも特定分野に特化したスペシャリティストア(専門店)を作りたかった」。イ・サンオプ代表はこう強調する。

「ノーチラスの最終目標は“教育メディア”になることです。ウェブトゥーンはこの目標を追求するための高級原料です。“イマンベ”が学校で、公式採用されるような学習教材になりたい。“イマンベ”を通じて、現代人が少しでも知識・教養を学習できたなら、これ以上望むことはありません」

社名は世界初の原子力潜水艦「ノーチラス」に由来するそうだ。

©MONEYTODAY

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