
AIアシストは、顧客が抱く感情まで分析する。
一例として、落ち着いていた声が激昂したり、話す速さに変化が生じたりした場合、状態を把握したうえ、どんな状況なのかを指示し、適切に応対できるように助けてくれる。通話終了後には対話内容を自動的に要約することはもちろん、相談内容に関する評価もする。
「相談に応じるのに慣れていない場合、音声だけでの対話では集中しにくい。だが、文字での表示はもちろん、AIが内容を把握して適切な情報を案内するので、相談時間が全般に短くなった。新入社員の能力を引き上げるのにとても役立っている」
KT銅雀顧客センターチーム長のト・チャンス氏はこう強調する。
スマートフォンの請求料金の説明のような内容の問い合わせは、そもそも相談員のところまで伝えられない。AI相談ロボット(ボイスボット)が適宜案内しているからだ。かつては相談員がいちいち確認して案内していたが、AICC導入後はこうした相談はAIボイスボットが引き受けてくれる。
相談員は、内容が複雑だったり専門的な案内が必要だったりする場合に応対する。
◇費用節減効果
ボイスボット導入で最も大きく変わった点は、待機時間が大幅に減ったということだ。
今までは問い合わせが殺到すると、相談員につながるまで長時間待たなければならなかった。だが、ボイスボットが応対することで、待機時間を短くし、顧客満足度を高めるのに貢献した。
KTではAICC導入で平均相談時間が34秒ほど短くなった。1秒短くなると約5億ウォンの費用節減効果がある。ここから計算すると、昨年は170億ウォン節約したことになる。
これにより、相談員の役割と責任(RNR)を調整し、約13万時間を営業に投入し、生産性を高めたという。
KTAICC戦略チーム長のイ・ジュンドン氏は「1カ月にかかってくる計542万コールのうち、136万コールをAIボイスボットが担当している。このうち73%にあたる100万コールで顧客が満足したと答えている」そうだ。初期のころ、ボイスボットを利用した顧客の40%が、再び音声自動応答システム(ARS)を使ったが、今、その割合は3%に減ったという。
KTはこうした経験に基づき、AICCの事業化を推進している。約13兆ウォン規模と推算される韓国コンタクトセンター市場を攻略する。
すでに金融や流通業界での利用が始まっている。第3四半期にはサービス型AICC(CCaaS)を発売し、10~200席規模のコンタクトセンター運営事業者にアプローチする。2025年には購読型のサービス商品として発表する計画だ。
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