韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の妻、金建希(キム・ゴニ)氏が本格的な外部活動に乗り出し、大統領室内に「専担チーム」を構成しなければならないという声が高まっている。ユン大統領が公約で廃止した「第2付属室」復活にまで拡大している。
一方で、大統領室はキム氏の日程がある時だけ補佐するという従来の立場を固守している。公約を覆すことはできないというのが主な理由だが、大統領室の立場と世論の乖離が大きくなり、キム氏の「静かな内助」は事実上、白紙化された状態になっている。
政界では、事業家出身のキム氏が安全に活動できる「空間」を作る側に方向転換してこそ「不幸」を防ぐことができるとし、フランス事例を手本として提示した。
◇「非公開日程が相当ある」
キム氏が本格的に大統領夫人として活動したと判断される時点は、13日の慶尚南道(キョンサンナムド)金海(キメ)の烽下(ポンハ)村訪問が挙げられる。
キム氏の烽下行きは、ユン大統領の同行なしに1人で公式日程を消化した初めての事例だ。「十年来の知己」である大学教授と大統領室職員がキム氏を補佐した。キム氏はこの日、故ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領墓地を参拝した後、ノ元大統領の妻、クォン・ヤンスク(権良淑)氏と面談した。
翌日の14日には与党・国民の力の当選4回以上の議員の妻11人と龍山庁舎近くにある国防コンベンションで昼食を取った。16日にはソウル・延禧洞(ヨニドン)にある故チョン・ドゥファン(全斗煥)元大統領の自宅を訪れ、妻のイ・スンジャ(李順子)氏を表敬訪問している。
こうした日程はすべてメディアを通じて報道された後、大統領室が確認したものだ。大統領室関係者の話を総合すれば、キム氏は、明らかにされた日程以外に、非公開日程が相当あるという。
前職大統領の配偶者を表敬訪問するのが就任当初の通常の日程であったとしても、与党議員の配偶者を招待して昼食を主宰したのは、キム氏が約束した「静かな内助」を越え、「配偶者」としての役割を果たすという確実な意志の表れと解釈すべきだという意見が大勢だ。
現在、大統領室でキム氏を補佐する専門チームはない。付属室内の2~3人の人員が業務を担い、報道などでキム氏の日程が確認されれば補佐するシステムだ。
これでは、キム氏を適切に補佐するのは難しい。キム氏の「烽下行き」当時、「随行人員に巫俗人がいる」や「大統領室が元コバナコンテンツ職員を採用している」などの不必要な論争が噴き出たのも、補佐が不十分なことに起因しているようだ。
ユン大統領が大統領選挙期間に第2付属室をなくし、「大統領配偶者」という呼称も使わないと固い意志を示した時から、政界では「そんなことは不可能だ」という見方が根強かった。大統領警護に関する法律によって、大統領配偶者は国家税金で警護を受けるなど、最小限の支援が伴うためだ。
配偶者は警護を受けるだけで、義務や責任、報酬などに対する法的規定はない。しかし、外国首脳が訪韓した際、大統領と一緒に会う、あるいは海外歴訪に同行する、などの場合、最小限の支援チームがつく必要がある。そのたびに一種の「第2付属室」が設置されることになる。したがって配偶者を担当する「第2付属室」は常時か臨時かの違いということだ。
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