韓国の大統領室が「龍山時代」を迎え、これまでの大統領府に代わる新たな名称を募ったものの、現時点では確定できていない。国民の幅広い共感を得られる名称が見つかるまで、これまでの「龍山大統領室」が使われることになりそうだ。
◇「時間を置くことに」
「大統領室の新しい名称委員会は本日、最終会議を開き、2時間近く議論した。その結果、新たな名称を勧告しないことに決めた」
カン・インソン(姜仁仙)大統領室報道官は14日、こう明らかにした。
この委員会は4月15日から1カ月間、公募で国民から寄せられた名称案約3万件をすべて検討し、今月3日の段階で「国民の家」「国民庁舎」「民音庁舎」「パルンヌリ(正しい世)」「梨泰院路22」の五つに絞り込んだ。
3~9日には、この五つについて、2万9189人を対象に国民選好度調査を実施。委員会側は、選好度調査結果と審査委員の配点を7対3の割合で合算し、最終案を決めるとしていた。
だが、大統領室はこの五つから、新しい名称を勧告しないことにした。
その理由についてカン報道官は次のように説明している。
「五つのうち、過半数を得票した名称がないうえ、それぞれに否定的な意見がある。国民的なコンセンサスを形成するのは難しい、という点で意見が一致した。60年余りにわたって使われてきた『青瓦台』の例から見て、性急に決めるより、自然な形で、適切な名称が出てくるまで、時間を置くことにした」
この結果、当面は「龍山大統領室」を呼ぶことで落ち着いたという。カン氏は「公募と選好度調査に参加して下さった国民に感謝する」と述べた。
◇「梨泰院路22」の得票が最も高く
大統領室関係者は次のように詳細を明らかにしている。
「『梨泰院路22』の得票率が32.1%と最も高く、2番目が『国民庁舎』(28.1%)だった。名称が持つ普遍性、発音のしやすさ、略語など、さまざまな側面で検討してみた。五つについて改めて調査した結果、圧倒的な支持を受ける名称がなかった」
「国民の家」は、簡単で呼びやすいという評価があった。ただ「国民」を「people」と訳す場合、中国や北朝鮮で使われる「人民」のような響きを持つ恐れがあるという指摘があった。また「国民の力」という党名に似ていて、批判を受ける可能性がある、という事情も考慮された。
また、この関係者は「『国民庁舎』という名前は呼びやすく、親しみやすいという点で評価が高かった。コミュニケーションが重要であるという点からも評価されたが、『中国共産党が使用する庁舎のようだ』という指摘が出た」と指摘した。
「民音庁舎」については「国民の言うことを広く聞くという意味が良い」という評価があった一方で「宗教的な匂いがする」「出版社のようだ」「国語辞典を発行しているようだ」などの指摘も相次いだ。
「パルンヌリ」は純韓国語であり、公正な世の中を夢見る大統領執務室によく似合うという評価がある一方、「正しい政党」と「セヌリ党」をかけ合わせた印象がある、という難点が提示された。
「梨泰院路22」は「淡々としている」「負担にならない」という評価があり、“国民と同じように住所を書くため平等である”という象徴性があって良いという意見が出た。ただ「正式名称よりは別称や愛称にした方が良い」「大統領室の名前としては軽い」というマイナス面も指摘された。
同関係者によると、当面は「龍山大統領室」という名称が使われ、今後、有力な案が浮上すれば、おのずと変更の流れになるとみられる。
©MONEYTODAY