BTSが電撃的に「活動中断」を表明し、各方面に波紋が広がっている。BTS側はその理由について「グループの方向性とアイデンティティについて悩む時間が必要だ」と説明しているが、専門家の多くは、不透明感の漂う軍入隊問題がその決断に大きな影響を与えたとみている。
◇男性有権者の反発
BTS側はこれまでに何度も「兵役制度変更の有無と、その時点を予測するのが難しい」という立場を明らかにしてきた。
所属事務所BIGHIT MUSICの親会社HYBE(ハイブ)の最高コミュニケーション責任者(CCO)は今年4月、米ラスベガスでの記者会見で「BTSが空白なしに活動を続けていくことを願う」と述べ、韓国国会に大衆文化芸術家を芸術・体育要員に編入できるよう兵役法改正案を求めてきた。
だが、改正案は依然として国会でもまれている。先月初旬、当時のファン・ヒ(黄熙)文化体育観光相が「国益に大きく貢献した大衆文化芸術家も、兵役特例の対象にならなければならない」と述べ、兵役法の早期改正を促したが、男性有権者の反発が大きくうやむやになった。
◇「完全体」復活は「2029年」
こうした中、メンバー最年長のJINは、入隊期限が迫っている。1992年生まれのJINは、2020年に軍徴集・招集を延期できる対象に大衆文化芸術分野優秀者を含む、いわゆる「BTS兵役法」が公布され、いったんは入隊時期を遅らせた。だが、今回は満30歳になる今年12月31日までの入隊が必至の情勢になっている。
兵役法改正案は通常、施行まで6カ月以上かかるため、JINの代替服務など入隊に変わる措置を取るのは現実的に難しい、というのが一般的な見方だ。
BTSはJINを筆頭に、SUGA、RM、J-HOPE、V、JIMIN、JUNGKOOKが順に入隊する見通しだ。JUNGKOOKは1997年生まれであり、2027年9月まで入隊時期を遅らせることができる。
仮にメンバーが次々に入隊し、最も若いJUNGKOOKが2027年に入隊するならば――BTSの「完全体」活動が復活するのは「2029年」ということになる。
BTSのチーム活動中断は、このような現実的なハードルに対応したもののようだ。
活動を活発化させているなかで、突然、軍入隊をスタートさせるより、グループでの活動を自発的に中断し、個人活動期間中に自然な形で各自兵役を終える「戦略」を取ったと解釈できる。HYBEやBIGHIT MUSICも、個人活動を積極的に支援するという立場だ。
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