現場ルポ
新型コロナウイルス感染期間に延期された大規模なイベントが再開されている。特にこの2年間、来客の人員制限のために先送りされてきた結婚式がせきを切ったように開催され、結婚式業界も活気を取り戻している。だが若者たちの間では祝儀の負担が大きくなってありがたくないという声も出ている。
クォン某氏(30)の場合――先月21日の1日だけで結婚式に2度出席した。その日1日の祝儀だけで40万ウォンになった。「ソーシャルディスタンスが解除されたので、新型コロナウイルス感染を口実に出席できないという話はしづらくなった。職場の同僚の結婚式に出す祝儀はいくら程度が適当なのか、当事者がもの足りないと思うかも知れないと気を使うのがまたストレスになる」。クォン氏はこう嘆いた。
ムン某氏(27)の場合――5月だけで、招待状を4枚受け取った。「ソーシャルディスタンス施行の時、親しい人々だけを選んで送られた招待状が、今は親しくない私にまでばらまかれる、という感じがある。結婚式が多くなれば、出費もかさばる」。ムン氏も同じ悩みだ。
結婚式業界によると、今年上半期の結婚式場の予約率は昨年同期より約20~30%上昇した。新羅ホテル、ロッテホテルなどソウルの主なホテルの結婚式場は年末までの予約を締め切った。
あるウェディング業界関係者は「先月から予約件数だけでなく、ウェディングホールの収容人数と食事をする人員が大幅に増えた。ソーシャルディスタンスが解除されたことを実感する」と話した。
◇祝儀文化に変化を求める声も
これによって、祝儀を払わなければならない結婚式が集中して、負担感を訴える人が少なくない。
ソウル市永登浦(ヨンドゥンポ)区に住んでいる会社員のイム・ギヒョク氏(31)は、自分で祝儀の基準を設けている。ソウルの結婚式に行く場合は10万ウォン、送金だけする場合は7万ウォン。ソーシャルディスタンス解除後は、出向く必要があるというという負担とともに支出費用も増えている。
イム氏は「ソーシャルディスタンスが解除され、もう招待状を4通受け取った。人目を気にするので、結婚式に行かなければと考えてしまうほうだ」と話した。
独身主義者のホン・スハさん(仮名・28)はこんな心の内を明かす。
「返してもらえない祝儀をしょっちゅう出しているだけだ、という気持ちが正直なところだ。親しい友人には、豊かに暮らすことを願う気持ちを込めて心から祝って出すが、負担になる場合もしばしばある」
祝儀文化に変化を求める声も出ている。
イ・テミョンさん(36)は「葬儀とは違って結婚の場合、突然のことではなく、新婚夫婦が長期間準備してすることではないのか。結婚する夫婦より、親による祝儀回収が優先される祝儀文化も変わらなければならないと思う」と話した。
専門家は「このような不満の声は、ソーシャルディスタンスで収まっていたが、再び日常が回復したことで顕在化している」と話した。
ソウル大社会学科のソ・イジョン教授はこう解説する。
「以前は、祝儀はお金をやり取りを通して『相互扶助』の役割を果たしてきた。だが今は、青年の間で独身主義が広まり、祝儀を出してもそれを回収する機会がなくなる例が増えた。不満が多くならざるを得ない」
誰にどれだけ出さなければならないかと悩む状況が、経済的に余裕のない若い人々の間で持ち上がっている問題だ。ソ教授は「韓国でも、祝儀文化や弔慰金文化に対する考え方を変える必要がある」と指摘する。
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