韓国の統一地方選挙の終了後、「AIユン・ソンニョル(尹錫悦)」を巡る論争が波紋を呼んでいる。保守系与党「国民の力」と革新系最大野党「共に民主党」指導部はAIユン・ソンニョルの使用が適切かどうかを巡り「弾劾」を掲げるほど激しい舌戦を繰り広げてきた。
AIユン・ソンニョルは、人工知能技術を利用してユン大統領の顔を合成した「仮想人間」だ。昨年の大統領選の際、国民の力の選挙運動戦略の一つとしてAIユン・ソンニョルが誕生した。
当時、AIユン・ソンニョルは「国内初の大統領AI」という点で大きな注目を集めた。だが、一部で憂慮の声も少なくなかった。AI技術が政界に使われるならば、選挙が混乱する恐れがあるという理由からだ。
ソウル女子大正しいAIセンター長のキム・ミョンジュ氏は「憂慮が現実になった」と話す。選挙の混乱を防ぐためにはAI政治家と関連した法と制度が整備される必要があるということだ。キム氏は「ディスクレイマー」(情報表示規則)の導入を強く主張した。
◇選挙中立義務を違反?
地方選を翌日に控えた先月31日、与野党は「AIユン・ソンニョル映像」を巡り、激しく衝突した。共に民主党は「AIユン・ソンニョルが国民の力候補を支持した」として「弾劾のレベル」と主張、国民の力は「弾劾を持ち出したのは大統領選への不服によるものだ」と強く反発した。
問題となった映像には「AIユン・ソンニョル」が登場し、「ユン政権は皆さんとともに暮らしやすい南海郡、希望に満ちた大韓民国を作ります」と話す。AIユン・ソクヨルの横には「パク・ヨンイル南海郡守(南海郡の長官)とともにいます」という文句が書かれている。
これに対し、共に民主党のパク・チヒョン共同非常対策委員長は「実際にユン大統領が動画製作を許可したり、知りながら黙認したりしたとすれば、大統領の選挙中立義務に明確に違反した。弾劾にも相当する重大事案」と批判した。
これに対し、国民の力のイ・ジュンソク(李俊錫)代表は「民主党が指摘する映像は大統領選の時、AIユン・ソンニョルの映像に誰かが特定候補への支持文句をただ追加したに過ぎない。当然、大統領や党が製作したわけでもなく、候補に対する公開支持の音声のようなものもない」と反論した。
パク・ヨンイル前南海郡守候補側は「支持者が作ってSNSに載せたものだ」という立場だ。
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