2024 年 11月 26日 (火)
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面接失敗しても大丈夫…入社志願者の評判照会プラットフォーム (下)

Startup Story ~~ 成功のカギ

スペクター(Specter) ユン・ギョンウク代表

スペクター(Specter)のユン・ギョンウク代表©MONEYTODAY

スペクターは、公正な評判データを確保するため、次の3点を徹底している。

・実名による評判作成(評判の提供者に対する徹底した検証)
・評判を多数集めることによる客観性の確保(志願者と組織間の適合性検証)
・悪意のある評判に対するフィルタリング

評判の作成を依頼し、実際にそれができあがる率は92%と高い。作成者の80%程度が退職者(=入社志願者)に対して良い評判を与えた、と答えているという。「10年前だったらこういう方法は難しかったでしょう」。ユン代表は、転職市場の活性化を実感している。

最近、モバイルSNSアプリケーション「ブラインド(Blind)」や企業情報ポータルサイト「ジョブ・プラネット(Job planet)」のように、企業に対するレビューのできるプラットフォームが多くなった。

「辞めていった人をぞんざいに扱うのは良くないということを知っている。一緒に仕事をし、ともに良い経験をした人を助けようとする傾向が強まっています」

ユン代表の目下の課題は「スペクターに対する誤解を拭い去ること」だという。

その誤解とは――同意なしに誰でも評判を残すことができて、誰でも見ることができる。一度、悪い評判が立ったら、そのままの烙印が押されてしまうのではないか――というものだ。

ユン代表はその誤解を払拭すべく、こう解説する。

「志願者が会員加入をして初めて、誰か(元同僚ら)が評判を書くことができます。本人が同意して初めて、誰か(採用する側)が評判を開くことができます。本人が希望する場合、評判を隠すこともできます。脱会すれば、すべての評判は自動的に削除されます」

これがスペクターの核心的な要素だという。

◇志願者と会社のマッチング

スペクターは昨年1月にサービスを開始。現在、7000余りの企業会員を有する。ロッテ、新世界(シンセゲ)、IBK企業銀行などの大企業からスタートアップまで、さまざまな企業が利用している。既存の人材採用プラットフォームともコラボしながら拡張性も高めている。

登録された評判データは8万件余り。評判が登録された個人会員は2万5000人に達する。

事業性、成長性が見込まれて、誘致した投資金額は累積13億ウォン。昨年11月には技術力を認められ、中小ベンチャー企業省の技術創業投資プログラム「チップス(TIPS)」にも選ばれた。

チップスを通じて、入社志願者が、自身が在職していた会社に対する評判も残せる機能を整備するという。ユン代表は「入社志願者と会社側の双方の評判データを分析して、志望者と会社の相性を見極める技術を開発します」と話す。

両者のデータを突き合わせれば――志願者が次の会社を決める際、似たようなタイプの志願者がその会社で▽どれだけ勤め▽どれぐらい満足し▽どんな人事評価を得たのか――などのマッチングの結果を導き出すことができるという説明だ。

◇シンガポールとベトナムと視野に

ユン代表は技術の高度化とグローバル進出のため、追加投資の誘致を進める。

グローバル進出にも対応できるモデルを使ってサービスを設計したため、既に海外VCからラブコールがあるそうだ。

初めての海外進出先に考えているのがシンガポールとベトナムだ。シンガポールは金融界を、ベトナムには製造業をそれぞれターゲットにする。

公正な採用市場を生み出して、公正な社会の実現に寄与する。これがユン代表の目標だ。「社会構造における制度を正すことはできませんが、少なくとも情報の非対称によって発生する採用市場の不公正は解決できると思います」

働く人の多くが、自分にふさわしい職場を持ち、幸せに暮らせるよう助けたい――こんな希望を描いている。

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