韓国の国民20人に1人は「登録障害者」
韓国の障害者団体が2021年12月から地下鉄でデモを続け、社会に残る障害者差別の実態を浮き彫りにしました。韓国の障害者の実情と、彼らが求めるものは何か、探ってみました。(シリーズ1/5)
◇登録障害者
韓国保健福祉省の「2021年度登録障害者現況」によると、2021年末現在、国内登録障害者数は264万5000人で、全人口の5.1%を占めている。つまり国民の20人に1人は、障害等級判定を受け、国が認めた「身体または精神的障害」を抱えて生きているわけだ。障害者登録手続きをしていない、あるいは審査を通過できなかった未登録者を含めれば、その数はさらに増える。
経済活動に参加する障害者は37.3%に限られる。人生に疲れた末に「極端な選択」をする障害者は、全人口の自殺率と比べると2.6倍に達する。一方、関連する国家予算は国民総生産(GDP)の0.6%という水準で、経済協力開発機構(OECD)の加盟国平均2.02%の3分の1にも満たない。
2017年をベースに登録障害者と未登録障害者を含む障害出現率を調べると、韓国が5.4%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の15.2%より低い。フィンランド34.2%、オーストリア34.1%、オランダ31.2%、ドイツ22.3%、オーストラリア17.7%、米国12.7%、北朝鮮8.2%、日本7.6%より少ない。障害出現率は、各国で障害者とする対象や範囲などが異なるため、差が大きくなる。
登録障害者は1年前より1万2000人増加した。2007年に初めて200万人を超え、着実に増えている。全人口に占める登録障害者の割合は2018年から5%台を維持している。
障害者の88%は、事故や病気などによる後天的なものだ。先天的に障害を持って生まれる障害者より圧倒的に多い。ソウル市が運営するソウル福祉ポータルによると、障害の原因の88.1%が疾病や不慮の事故など後天的要因による。後天的障害の原因のうち、疾患(56.0%)が事故(32.1%)より高い。
後天的障害者が多いということは、年を取るほど障害を持つ可能性が高いということだ。
2021年は登録障害者のうち65歳以上の高齢者の割合が51.3%と半分以上だった。10年前の11年(38%)より13.3ポイント増加した。60代が62万4000人(23.6%)で最も多く、70代57万8000人(21.9%)の順だ。全人口に占める登録障害者比率は60代8.7%、70代15.6%、80代以上22.5%だ。
2021年の1年間、新たに登録された障害者は8万7000人で、70代が2万1563人、80代以上1万6923人の順で多かった。65歳以上の割合は55.1%で、半分以上だ。
韓国社会の高齢化が深刻化するほど障害者の割合がさらに増えるという予測につながる。
◇「極端な選択」
登録障害者のうち、障害の程度が重い障害者は98万5000人(37.2%)、重くない障害者は166万人(62.8%)だった。
障害は種類別に肢体、視覚、聴覚、言語、知的障害者など15類型に分かれる。肢体障害が45.1%で最も多い割合を占めている。次に聴覚障害15.6%、視覚障害9.5%、脳病変9.4%の順だ。
登録障害者のうち、男性は153万人(57.8%)、女性は11.2万人(42.2%)だ。地域別に登録障害者が最も多く居住する地域は京畿道(21.9%)、最も少ない地域は世宗(0.5%)だった。
登録障害者のうち、低所得層ら一部は国家や地方自治体から医療・福祉サービスを受けることができる。しかし、障害者の経済活動は非障害者に比べ依然として制限的だ。
韓国障害者雇用公団雇用開発院の「2021年障害者経済活動実態調査」によると、2021年に1万1000人の標本調査をした結果、満15歳以上の登録障害者の経済活動参加率は37.3%。全国民の63.7%に比べ26.5ポイント低かった。障害者の雇用率は34.6%だが、全国民でみれば61.2%。その半面、失業率は7.1%で全国民の4%より3.1ポイント高かった。
所得や生活の質が構造的に低くならざるを得ない。統計庁の「2021年家計金融福祉調査」によると、2020年の障害者世帯の年平均所得は4557万ウォンで、全世帯の6125万ウォンの74.4%という水準だ。
障害者が生活苦の中で自ら「極端な選択」をする事例も目立つ。
国立リハビリテーションセンターの「2019~2020障害者健康保健統計」によると、人口10万人当たりで新たに死亡した人の割合を意味する「調査網率」は、2020年に障害者3009.6人と、全人口の593.9人より5.1倍高かった。
自殺などによる「調査網率」は57.2人で、全人口の発生率25.7人と比較すると2.2倍高い。特に10代~40代の比較的若い年齢層の死亡原因は、1位のがんに続き、2位が自殺だった。
新政権は障害者を対象に「個人予算制」を導入し、現金福祉を強化するという構想を出した。個人予算制は障害者に一定金額の予算を支給し、必要な社会サービスを利用できるようにする制度だ。具体的な予算および1人当たりの支援金額はまだ決まっていない。
新政権発足前にある関係者は次のように見通す。
「個人予算制は、政府発足後、モデル作業を経て段階的に推進することになるだろう。具体的な予算規模や既存制度の改編方式などはモデル作成・分析を経なければならない」
(つづく)
©NEWSIS