◇中国市場、2016年以降、悪材料重なり苦戦
ビューティー業界が一斉に北米市場に向かう準備を整えることは、対中国市場への依存度を下げてリスクを軽減するための戦略だと解釈される。
中国市場では2016年、最新鋭迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)ミサイル」導入をめぐる対立を受けて韓国産化粧品の検疫・通関が強化された。事実上の「限韓令」(韓流禁止令)で、韓国輸出や免税販売などの成長が鈍化した。
ここに新型コロナウイルス感染拡大以降、国家間の移動が制限されたうえ、中国企業が急速な成長傾向を見せており、韓国ビューティー産業の免税チャンネルやオフライン販売は減少し続けている。
韓国KB証券パク・シネ研究員は「中国政府の新型コロナウイルス防疫のための封鎖・隔離政策は今年1~2月の北京五輪期間に続き、3月に入ってからはいっそう強化された。LG生活健康の中国需要と関連した中国法人や免税店チャンネルへのマイナスの影響は不可避だ」と指摘した。
また「アモーレパシフィックの電子商取引売り上げは上昇傾向にあり、堅調な流れが続くものと見通される。だが中国の強力な新型コロナウイルス防疫処置により、ポッタリ商人(中国―韓国間の小規模商)の需要が委縮した影響で、免税店の売り上げは下落するものと予想される」と分析している。
◇対米化粧品の輸出額、5年間で87%↑
一方で、米市場は、確実な立地を固めているグローバル企業が存在していることを考慮しても、規模の側面で十分に魅力的なものとして挙げられる。
韓国化粧品産業研究院の国別輸出現況によると、対米化粧品の輸出額は、2017年に4億5023万ドルだったのが、▽2018年に5億4331万ドル▽2019年に5億3026万ドル▽2020年に6億4053万ドル▽2021年に8億4251万ドル――を記録し、5年間で約87.1%増加した。
昨年は、ここ数年間の輸出割合で2位を占めてきた香港に代わって、米国がシェア2位に台頭するまでになった。
淑明(スンミョン)女子大経営学科のソ・ヨング教授は「韓国はこれまで米国に直接進出できなかった。韓流が今、南米に始まり北米まで、ヒスパニックを中心から白人にまで広がっている。多民族国家である米国は主流市場が白人ではないため、今回こそ韓流という大変な好材料に出会ったわけだ」と述べた。
さらに「BTS(防弾少年団)に続いて、これからはBLACKPINK(ブラックピンク)が(北米から)人気を集めるだろう。こうした流れにうまく乗れれば、かつてない好機だと言える」と分析している。
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