北朝鮮が集計する感染者数も実際より過小反映されている可能性が高い。北朝鮮は診断キット不足のため、いったん発熱者を新型コロナの感染疑い者に分類しているが、感染力の強い変異型「オミクロン型」の場合、発熱症状が出る感染者の割合は30%に過ぎない。実際の感染者の規模は、北朝鮮当局が発表する発熱者数より3倍以上である可能性があるわけだ。
致命率を1%と仮定すれば、北朝鮮の新型コロナ関連死亡者数は今後10万人をはるかに超える可能性があるという懸念も出ている。約2600万人の北朝鮮人口の半分が感染し、致命率が1%であれば死者数は13万人だ。致命率が2%であれば、死亡者数は30万人に達する可能性もある。北朝鮮が1990年代に経験した大飢饉「苦難の行軍」期間に発生した餓死者数に匹敵する規模だ。当時、30~100万人の餓死者が発生したと推定されている。
また、北朝鮮で新型変異ウイルスが発生する可能性があるという分析も提起されている。WHOは最近、「(北朝鮮を含む)国家が、使用可能な道具を使わないと心配だ。WHOは確認されていない伝染があるところで、常に新しい変異が現れる危険性が高いと繰り返し明らかにしてきた」と警告した。
これまで登場した主要な変異のほとんどは、ワクチン接種率が低い地域で発生した。デルタ変異が2020年10月、インドで初めて報告され、オミクロン変異は2021年、南アフリカで発生した。英国で発生したアルファの場合も、同国でワクチン接種が始まる前の2020年9月の段階でこの変異が報告されている。
韓国の感染症専門家も、北朝鮮が新しい変異の震源地になる可能性がある得ると見ている。翰林大江南聖心病院感染内科のイ・ジェガプ教授は「北朝鮮のように未接種者が多く、医療システムが脆弱な国では流行発生時に重患者が急激に増える。ウイルスが体内に留まる時間が長くなるわけで、流行拡散と重患者発生が速い速度で進行すれば、変異が発生する確率も上がる」と述べた。
高麗大九老病院感染内科のキム・ウジュ教授も「新しい変異が現れる可能性がないとは言えない。しかし変異以前に防疫を含む医療全般が焦土化するという状況が起こる可能性がある」と述べた。
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