2024 年 11月 24日 (日)
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半導体を洗えず船舶溶接も停止…迫る危機

サムスン電子半導体クリーンルーム©MONEYTODAY

韓国で主要な石油化学生産施設が定期補修に入った影響で、石油精製プロセスで副産物として出る炭酸ガスが急減、半導体・造船など大規模炭酸需要産業が緊張している。2~3年単位で実施される定期補修のたびに需給難が起きるのに加え、今年は新型コロナウイルス感染後の冷凍・冷蔵需要拡大などが重なり、状況がさらに悪化した。

石油精製の際に生成される炭酸ガスは、精製・液化・流通を通じて主要需要先や炭酸卸売業者に供給される。

国内で最も多くの炭酸ガスを生産するのは石油元売り大手の現代オイルバンクだ。1日440トンを生産する。国内全体の1日生産量2740トンの16.1%だ。現代オイルバンクのほかにもロッテケミカル(420トン)、LG化学(310トン)、SKイノベーション(300トン)など国内大手石油化学メーカーが80%前後を供給している。

炭酸ガス生産量は、3月は通常の生産量8万3000トンの84.3%、4月は80.4%だった。今月は各メーカーの補修期間が重なり、70.5%に下がる見通しだ。生産量が一部回復する来月も81.4%レベルになるものと予想される。来月初めまで2~3週間の間が国内炭酸需給の最大のヤマ場と指摘される背景だ。

その中でも半導体業界への影響が懸念される。直ちに在庫が不足するわけではないが、供給不足が続く場合、生産に支障が生じかねない。半導体工程用の高純度炭酸は、ウエハー(基板)を削りながら生じる不純物を洗浄する工程に使われる。ウエハーに回路を焼き付ける露光工程でも解像度を高める役割をする。

溶接用ガスとして炭酸を使う造船業界も同様だ。かつて好況期だった2008年にも溶接用の炭酸ガス不足で操業に支障をきたした。当時も石油化学業界の定期補修が原因だった。グローバル造船市況が再びスーパーサイクルに入って溶接需要が高まっており、安定的な炭酸調達が足元の火になった。

供給不足による価格上昇も負担だ。半導体業界は主要原材料価格の上昇で半導体受託生産価格の引き上げが相次いでいる状況だ。造船業界も厚板価格の上昇で収益性に赤信号がともっている。さらに炭酸価格まで上がっており、原価負担が重くのしかかっている。

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