現場ルポ
韓国の健康食品会社「プルムウォン」(Pulmuone)グローバル工場。輸出用キムチ工場の中で最も現代的な施設を有する。
「工場の床に鉄芯を打ち込んだ特殊コンクリートを使用しているため、亀裂も腐食もありません。工場全体をキムチの甕のように、涼しく管理しています」
パク・ボムドン工場長(47)は衛生状態を訊ねた質問に、まずは床の話から入った。
2019年3月に竣工したこの工場は、プルムウォンが300億ウォンを投入して全羅北道(チョルラプクト)益山市(イクサンシ)の国家食品クラスター内の3万329㎡の敷地に位置する。生産されたキムチの大半は北米向けだ。
工場の床には、一般的なコンクリートの2倍の費用がかかる鋼繊維補強コンクリート(SFRC)を使用した。
水と塩を多く使うキムチ工場は、亀裂や腐食によって水が溜まりやすく、虫が発生したり生息したりしやすい環境が作られる。これを防ぐために選択した材料がSFRCだ。
生産工場の衛生管理は半導体工場をほうふつとさせる。
異物の混入を防ぐために、数回の衛生管理プロセスを経て、ようやく生産施設へ入ることができる。石鹸をつけ、手を洗って乾燥するまでの過程も一つの蛇口でできるようになっている。合わせ調味料のヤンニョムを入れる作業を除けば、ほとんどの工程は自動化されている。
白菜のカットから配合、包装に至るまで人の手はほとんど使わない。これは、異物混入を最小限に抑えるための措置だ。1日15トンのキムチを生産するのに、職員は70人に過ぎない。
虫混入事故を防ぐための5段階工程も注目に値する。白菜の外側の葉を分離しながら肉眼で検査▽強い光で異物を見つける光学検査▽昆虫が生存しにくい塩水筒に2時間漬ける――という3段階の洗浄過程があり、最後に水検査などのプロセスを経る。
「白菜の中には昆虫はもちろんミミズ、カエル、さらにヘビが出てくる場合もある。この工程を経て、すべての生物は完全に除去できる」。パク工場長はこう胸を張る。
韓国のキムチ工場で初めてとなるIoTとRFID(電子タグ)を活用した生産履歴管理も注目に値する。1パレット(500キロ)ごとにコードを与え、10分単位で追跡する。ある商品で品質問題が発生すれば、集中的に調査する。
グローバルキムチ工場でつくられるキムチは▽白菜キムチ▽カクテキ▽チョンガクキムチ▽大根の葉のヨルムキムチ▽白キムチーーの5種。米国市場では「プルムウォンナソヤ(Nasoya)」ブランドをつけて「KIMCHI」という名前で販売される。
ナソヤは2016年に「プルムウォンUSA」が買収した米国1位の豆腐ブランドだ。ウォルマートの流通網を活用しており、北米では大きな影響力がある。今月からはコストコでも販売を始め、流通網をさらに広げた。
昨年、中国発の「裸で漬けたキムチ」問題に続き、最近キムチづくり名人の「腐った白菜」問題でキムチの衛生問題が明るみに出た。こうした不祥事をパク工場長は残念がる。
昨年は、新型コロナウイルス感染の大流行で学校給食需要予測が外れ、保管していた白菜の品質が悪くなって廃棄した。そのため、4000万ウォンの損失を出した。
「目先の利益のために、目をつぶって悪い材料を使うのは最悪の判断だ。最高の衛生状態で工場を管理することがキムチの競争力を高める道だ」。パク工場長はこう確信している。
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