韓国の高級ホテルが「アートテック」に目覚めた。「ホカンス」(ホテルに泊まりつつバカンス気分を味わうという意味の造語)の大切な顧客として位置づけられるMZ世代が美術館・展示会にも熱狂しているトレンドを読んだからだ。ホテルは素早く対応し、ロビーと客室を美術ギャラリーのように飾って、有名作家の作品を配置したり、美術作品と連携した新概念のホカンス商品を発売し始めた。
業界関係者によると、主要な高級ホテルが芸術活動と連携した「ホカンスパッケージ」を発売している。ホテル新羅(シルラ)が運営するソウル新羅ホテルは、ドイツのギャラリー「ペレスプロジェクト(Peres Projects)」と手を組んで「オープンユアアート(Open Your Art)」パッケージを売り出した。ドイツのベルリンを拠点に目新しい作品を公開しており、国内外の美術愛好家の間に口コミで広がったペレスプロジェクトのアジア初の分店をホテルに誘致し、コラボ商品も作った。
今回のパッケージは、ホテルで販売する既存の商品に有名作品を重ね合わせ、所蔵する価値を高めたプレゼントを宿泊客だけに提供するのが特徴だ。ホテルベーカリーのダックワーズ(Dacquoise)にペレスプロジェクト専属アーティストのドナ・フアンカ(DonnaHuanca)の作品をつけた。ドナ・フアンカが昨年、ルイ・ヴィトンとコラボし、国内でも人々の間で存在感が高まり、限定版のダックワーズを求めるためにホテルに立ち寄る人が少なくない。
新羅ホテルは、美術と組み合わせた「ホカンス」商品を引き続き提供している。
昨年11月には宿泊客が作家パク・ソボの「描法No.071218」「描法No.111020」の共同購買に参加し、作品の一部を所有できる「Fall in Art」パッケージを出した。パク・ソボの作品が「ソボコイン」と呼ばれるほど美術市場で人気を博しているという点で注目を集め、この作品をホテルに展示するとホテルの訪問客が増えた。
ホテル新羅は今年初め、イ・ブジン社長が新年の挨拶で「MZ世代に身近な企業にならなければならない」と明らかにし、新たな成長の原動力として若年層の攻略に注力している。そのために美術市場との連携は当然だと分析してる。新型コロナウイルス感染で浮上したホカンストレンドを率いる核心的な顧客層であるMZ世代が、新たな美術愛好家として生まれ変わっているためだ。
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