5年働いたら6万ドルのボーナス
韓国で求人難が深刻になる一方で、配達アプリケーションなどの労働者はあふれています。決まった職場にとどまらず、スマホ一つを持ち歩きながらお金を稼ぐ「デジタル・ノマド(遊牧民)」。その姿を追いました。(最終回)
◇労働者の認識変化に歩調を合わせる
世界各国が新型コロナウイルス感染の防疫措置を緩和し、人材需要の急増による求人難が社会問題として浮上している。昨年から、深刻な人手不足に陥っている米国では、退社を防ぐため、社員に「5年勤続ボーナス」として6万ドルを与える企業まで登場した。
米労働省が発表した今年3月の指標によると、米労働者らの時間当たり平均賃金は前月より0.4%、昨年同期より5.6%上昇した。パンデミック以後、求人難に陥っている企業が人材の離脱を防ぐため、先を争って賃上げに乗り出したためだ。今年2月、全米の退職者は610万人を記録したが、そのうち自発的退職者は約440万人に達した。特に製造業、外食業、宿泊業などで職場を離れるケースが多かった。
このため、米国企業は社員が退社しないようにあらゆる策を練っている。
CNNやニューヨーク・タイムズ紙などによると、米国の不動産投資プラットフォーム「マインド(Mynd)」は、勤続年数5年になると、不動産に投資できるように6万ドルを支援するプログラムを導入した。
新しい会社に出勤する前に有給休暇を提供しているところもある。米広報会社マイクワールドワイドは「事前有給休暇」を通じ、採用が確定した社員には、勤務を開始する1週間前から給与を支給し始める。
新型コロナをきっかけに在宅勤務が定着するなか、労働者の認識変化に歩調を合わせて勤務形態を柔軟に変える会社も増えている。米カリフォルニア州と英国に共同本社を置くソフトウェア「ワンディスコ」は、今年2月から賃金削減のない週4日制、週32時間勤務を導入した。
◇求人難解決にロボット
米国の外食業界では求人難を解決するため、店員に代わるロボットを導入した。
カメラとレーザーセンサーを活用して食べ物を運ぶロボット「サービ(Servi)」の使用料は月999ドルのレベルだ。料理製造ロボット「フリッピー(flipy)」は、フライドポテトやチキンのように油の温度を調節するだけで簡単に調理できる料理を作ることができる。「フリッピー」を作ったミソ・ロボティクス副社長は21年10月、メディアとのインタビューで、このロボットが毎週約150台売れると語った。
欧州の一部の国は、3D業種の求人難を「親移民政策」を通じて解決している。
ドイツは移民労働者の雇用契約許容条件を緩和し、海外で取得した資格認証手続きなどを簡素化するファーストトラック制度を導入した。
フランスは、簡単な審査さえパスすれば、4年間フランスで働いて居住することを許可し、移住費用の一部と事務スペースも政府が提供する。
スペインではスペイン系アルゼンチン人を対象に技術、情報通信、研究、金融などの分野で中間以上の熟練度を持つ労働者に「求職ビザ」を発給する。
こうした状況に韓国労働研究院のソン・ヨンジョン研究委員はこう警告する。
「米国では昨年から深刻な求人難が起きていた。それがいま、同じような原因で韓国も似たような流れになっている。新型コロナで完全に変わってしまった社会的雰囲気を元に戻すことは容易ではない。企業が変化をしっかり読み取れず、以前の労働環境に固執した場合、労働需要と供給の間に乖離が生じかねない」
(おわり)
「『デジタル・ノマド』ランド」はMONEYTODAYのアン・ジェヨン、キム・ジュヒョン、イ・ジェユン、パク・グァンボム、パク・スヒョンの各記者が取材しました。
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