現場ルポ
看板製作会社を運営するイ・チャンヨンさんは昨年5月、1本の電話を受け、釜山(プサン)市北区(プクク)にあるスポーツセンターに駆けつけた。「どこかから猫の鳴き声が聞こえる」というものだった。調べてみると、建物外の換気口につながる穴に1匹の猫が落ちてしまっていたようだった。
穴の深さは25メートルほど。イさんはロープを張って穴の中に降りた。だが、そこにも、猫の姿はなかった。換気口の中に入り込んでいたのだ。イさんは持ってきた道具を取り出し、換気口を開けた。そして、猫はイさんに抱かれて、無事救助された。
イさんはYouTube「ニャンニャンTV」を運営する猫救助専門家、いわゆる「猫探偵」だ。
イさんのように、危ない目にあっている猫を救助する人たちはほかにもいる。
◇救助が難しいのは山にいる猫
その1人、オク・スチョルさん。2015年12月、蔚山(ウルサン)のある山で猫が行方不明になったという情報を受けた。その瞬間、非常食を手にして失踪現場に向かい、数日、山に寝泊まりしながらの粘り強い追跡によって、猫2匹を探し出し、飼い主の胸に抱かせた。
オクさんはかつて慶尚南道(キョンサンナムド)にある法律事務所で事務長として働いていた。仕事が終わるとペットの猫と過ごす愛猫家だった。
2010年ごろから、余暇の時間を使って猫探しを手伝うようになった。2013年からこれを仕事にするようになり、10年目の今年にはYouTubeチャンネル「猫探偵TV」で広く知られるようになった。
オクさんによると、山にいる猫の救助が最も難しいという。
「都会でいなくなった場合、住宅街の奥まったところに隠れるので、居場所を予想しながら探すことができる。でも山の場合、広いので立ち去った方向がわかりにくい」
©MONEYTODAY