韓国サムスン電子が、米国第4の移動通信事業者「デッィシュネットワーク(Dish Network)」に高速通信網5Gの移動通信装備を大規模に供給する。サムスン電子が3日、明らかにした。契約規模だけで1兆ウォン以上となり、サムスンの米国内5G通信装備供給の中で歴代2番目となる規模だ。
サムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)副会長がデッィシュ創業者のチャールズ・エルゲン(Charles Ergan)会長に直談判して協力を議論するなど、今回の契約成立に決定的な役割を果たした。
◇米国で2番目の大型受注
サムスン電子は、5G全国網構築のために▽5G仮想化基地局▽多重入出力基地局――を含む多様な通信装備を供給する。特に、5G仮想化基地局は、ソフトウェアを汎用サーバーに搭載して基地局機能を形にする方式の次世代技術だ。
今回の受注により、サムスンは、世界最大の通信市場である米国で、シェア拡大や立地強化の基盤を固めたとの評価を受けている。
ディッシュネットワークは2023年までに、米国人口70%の居住地域を結集した5G全国網を構築する計画を持つ。サムスン電子の次世代通信装備を導入し、早期に安定した全国通信網を構築して、加入者の確保を急ぐ。
ディッシュネットワークのジョン・スウィリンガー(John Swieringa)最高運営責任者は「サムスン電子の5G仮想化基地局と次世代通信技術力は、ディッシュの5Gネットワーク構築において中核的な役割を果たすだろう。ディッシュはサムスン電子との協力を通じて、より優れた移動通信サービスを顧客に提供し、今後の通信経験をさらに豊かなものにすべく、5G技術の革新を続けていく」と表明している。
◇受注成功の裏にイ副会長とエルゲン会長の「北漢山ミーティング」
サムスン電子がデッィシュの通信装備供給受注を獲得したと伝えられると、財界の内外で次のような受け止めが広がった。
「イ・ジェヨン副会長のネットワークが決め手になった」
複数の業界関係者は「イ副会長とエルゲン会長の信頼関係」が今回の契約成立の決め手となったことを明らかにした。
イ副会長は、昨年9月に韓国を訪問したエルゲン会長と面会し、5G通信装備事業に対する協力について議論した。
当初、短時間の事業ミーティングだけが予定されていたが、イ副会長がエルゲン会長に「北漢山(プッカンサン)登山」を提案したという。エルゲン会長はキリマンジャロやエベレストベースキャンプなど、世界の高山地域をほとんど制覇したほどの登山愛好家だ。
イ副会長は自ら車を運転し、エルゲン会長が泊まっていたホテルを訪れ、随行員なしの2人きりで北漢山を登ったという。山登りは午前11時30分ごろから約5時間にも及んだ。この間、それぞれの日常に関する話から、サムスンとデッィシュの協力強化の方法まで、幅広い分野について、深い議論が交わされたという。
その後、今回の5G通信装備契約をめぐって交渉が進められた。そのプロセスの中で、2人の信頼関係が肯定的に作用し、最終的にエルゲン会長が今回の受注を決めたという。
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