建物・壁に当たれば損失率↑
韓国が世界で初めて5G(第5世代)移動通信システムを商用化してから2022年4月3日で満3年になりました。新型コロナウイルス感染のパンデミックと非対面時代、5Gは核心インフラとして位置づけられています。現状と課題を考えてみました。(シリーズ2/5)
◇首都圏に集中
5Gは超高周波(28GHz)帯域だ。超高周波であるほど直進性が強いため、建物や壁に当たれば損失率が高い。到達距離も短いため、まともなサービスを実現できない。特に山岳地形が高く都心密集度が高い韓国では実現が不可能だ。人口密度が低い米国でさえ、28GHzの全国網は失敗に帰する流れだ。
移動通信3社は昨年末までに28GHz帯域5G基地局をそれぞれ1万5000台ずつ構築する必要があった。だが実際に竣工した支局装備は138台。義務対比履行率は実に0.3%に過ぎなかった。
「28GHz帯域5G全国網について、消費者向けサービス(B2C)を発展させる計画があるか」。消費者主権市民会議からこうただされた。政府と移動通信3社としては答えづらい問いかけだ。
3.5GHz帯域5G全国網構築は、まだ進行形だ。次の与党となる「国民の力」のファンボ・スンヒ(皇甫承希)議員によると、今年2月現在で移動通信3社が構築した5G基地局数は20万2903カ所で、全国LTE基地局の約23%に過ぎなかった。
これさえもソウルや京畿道など首都圏に40%が集中していた。
◇「5Gの貢献度は低くない」
5Gの商用化から3年たつ。残したのは負の部分だけではない。
ファンボ議員によると、5G加入者が使用する月全体データ量は、約54万4000テラバイト(TB)で、LTEデータ量(27万4000TB)の2倍に達した。
新型コロナウイルスの感染拡大でソーシャルディスタンスを確保しなければならないなかで、遠隔勤務、OTT、メタバース・XR(拡張現実)など、高度化したオンラインサービスを日常に無理なく定着させるのに5Gの貢献度は低くない――これが業界の見方だ。
品質も着実によくなっている。政府の上・下半期の品質評価の結果、速度とLTE転換率などの指標は毎回改善している。
また、科学技術情報通信省と移動通信3社は、5G疎外地域である農漁村地域に共同網の構築を推進している。通信会社1社が1基地局だけを構築すれば、残り2社の加入者も利用できるようにするもので、昨年11月にモデル商用化を終え、今年から本格段階に入った。
「難題」ではある。しかし、28GHz帯域の商用化も放棄できないというのが政府の判断だ。
同省関係者はこう強調する。
「(世界最大の通信関連イベント)MWC2022でも、海外企業が28GHz帯域の活用案として多様な技術的代案を提示している。限界を克服した新しい装備と新技術が引き続き出ている状況であり、通信3社が約束した28GHz全国網を構築するよう引き続き督励する」
(つづく)
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