韓国で「初夏」の陽気が続く中、夏の代表メニューであるビビン麺市場の競争が激化している。業界トップの「八道(パルト)」をとらえるため、各社は新製品を発売したり、従来品の重量を増やしたりするなど、模索を続けている。
韓国農水産食品流通公社(aT)によると、国内のビビン麺市場は2015年には757億ウォン規模から、2020年には1400億ウォン規模に成長した。成長の勢いが鈍ったラーメン市場で唯一、ビビン麺市場だけが大きくなっている。
この麺市場で独占的な位置を占める「八道ビビン麺」。1984年の発売以来1位の座を守っている。ただ、複数のメーカーがビビン麺市場に参入し、80%に迫っていたシェアが50%台後半から60%台前半まで落ちた。
八道は「八道ビビン麺」を知らない国民はいない、と判断し、新たな消費の中心軸であるMZ世代攻略で1位を守ることに乗り出した。MZ世代のアイコンとして再チャレンジした、アイドルグループ「2PM」のジュノをモデルに掲げ、ビビン麺に初めて接する消費者とのコミュニケーションを強化した。「コドゥルギム」「コガンチョ」ビビン麺など、辛くない商品も発売し、ラインナップも拡大した。
「農心(ノンシム)」と「オットギ」が八道(パルト)の後を追って2、3位争いを繰り広げている。農心が昨年、「ベホンドンビビン麺」を発売し、2位の座を占めた。この商品は昨年、3400万個が販売された。「ベホンドンビビン麺」は、タレントのユ・ジェソクをモデルに据えて2位の座を守る一方、不動の1位である八道ビビン麺を追い抜くという目標を掲げる。
「ベホンドンビビン麺」に押された「オットギ」は「チンビビン麺」のレシピを変え、2位奪還に乗り出した。従来なかった原料の梨と梅、大根などを追加して「ソース」をアップグレードし、パッケージにも「ジンビビン麺のおいしい呪文、ベサメムーチョ(梨・リンゴ・梅・大根・コチュジャン)」という文句を記して味を強調した。
「三養(サミャン)食品」は2月末に、これまでのビビン麺とは異なり、11.1%のジャガイモのでんぷんを配合した「ビビン麺」を発売し、挑戦状をたたきつけた。コチュジャンの代わりに唐辛子粉と大根で味付けした。消費者の要求に合わせてこれまでの「ヨルムビビン麺」より麺の重量を21%増やした。新たに発売したビビン麺は、3月の1カ月間で130万個が売れ、目標を達成した。
「プルムウォン食品」は、自社の特徴を生かした「正(ジョン)・白(ペク)・紅(ホン)ビビン麺」を昨年夏に続き、今年4月から再び生産している。この商品は業界唯一の「ビーガン認証」ビビン麺として口コミが広がり、ビビン麺市場に新たな活力を吹き込んだと評価されている。
農心チャパゲティが独走しているジャジャンラーメン市場の競争も活発になっている。「オットギ」は「ごちゃごちゃ」の調理法を適用した「チャシュラン」を出した。従来の「チンジャジャン」がプレミアムラインだったとすれば、価格を農心チャパゲティと似たようなレベルに引き下げた「チャシュラン」で勝負に出たのだ。「オットギ」が新たに開発した「ごちゃごちゃ」調理法は、麺を茹でたゆで汁を捨てる従来の調理法から脱し、ゆで汁を捨てずに調理することで「手軽な調理法」とした。
プルムウォン食品は昨年9月、「ロースティングジャジャン麺」を発売し、乾麺という特徴を前面に押し出し、市場での影響力を拡大している。発売から6カ月で累積販売1000万個を突破した。最近は消費者のニーズを満たすため、プレミアム製品「ロースティングジャジャン麺トリュフオイル」も追加で発売した。
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