韓国大統領府の春秋館には野良猫1匹が住み着いている。
ムン・ジェイン(文在寅)大統領が大統領府官邸で飼っている動物は世間によく知られているが、最近、春秋館に住み着くようになった野良猫「黒ゴマ」は大統領府職員と担当記者団の間の秘密にほかならない。
政権初期には、ムン大統領が当選前から飼っていたペット犬「マル」と猫「チンチンイ」、当選後に直接養子縁組した捨て犬出身「トリ」、2018年に北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記から贈られた豊山犬「コミ」「ソンガン」が有名だった。「ファーストドッグ」「ファーストキャット」という象徴性もあり、ムン大統領と一緒にいる写真がメディアでよく報道された。
「黒ゴマ」は野良猫なので、いつから大統領府の境内に住むようになったのか、その経緯が不明だ。周辺の民家で飼われていたのが自ら脱出したのか、北岳山付近に遺棄されて大統領府まで流れ込んだのか、さまざまな可能性が考えられる。
春秋館職員の話によると、「黒ゴマ」が春秋館近くに姿を現し始めたのは昨年10月ごろ。白地に、顔や背中、しっぽが濃い灰色の毛で覆われたきれいな野良猫だ。出現するやいなや、職員らの視線を捕らえた。 人によく懐いて撫でてあげれば愛嬌も見せる「犬のような猫」という噂もすぐ広まった。
きれいな外見と、素朴で丸い性格なため、しばしば雌と誤解されるが、実は「黒ゴマ」は雄だ。大統領府の境内で初めて発見された時から、すでに去勢手術を受けている。年齢は4歳前後と推定される。
「黒ゴマ」は小さな体を利用してしなやかに藪の中を通り、大統領府境内のあちこちを自由に歩き回る。緑地やヘリポートなどをゆっくり横切って散歩しているという目撃談もしばしば。
「黒ゴマ」はいつも春秋館に戻ってきた。まるでどこに行けば多くの関心と愛情を受けることができるのか知っている様子だった。
5月10日の大統領府開放を控え、養子縁組が進められている。「黒ゴマ」の家である春秋館が大統領府開放と同時に空っぽになるためだ。人が好きな「黒ゴマ」1匹が残るよりは、養子縁組されてどこかの家の猫になった方がいいとみんな口を揃えている。
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