ジェットコースターに乗るカカオバンク
韓国にインターネット専業銀行が設立されてちょうど5年。発足当時、「期待半分、憂慮半分」といわれたネット銀行はその後、金融市場をどう変えたのでしょうか。(最終回)
インターネット銀行の盛り上がりが続く一方で、一部にそれに水を差す動きもある。カカオバンクの株価下落が最近、尋常ではないのだ。上場前後に肯定的な見通しが出たのとは違って、市場評価も食い違っている。
有価証券市場でカカオバンクは4月6日に前営業日より1450ウォン(2.91%)下落した4万8350ウォンで場を終えた。今月に入って4営業日連続の下落だ。
米連邦準備理事会(FRB)が4月5日に強い緊縮予告発言をしたことを受け、同じセクターに属するKB金融、新韓持株、ハナ金融持株、ウリ金融持株などが上昇したのとは対照的だ。
利上げ期の代表的な恩恵株とされる金融株カカオバンクの動きには失望させられる。
カカオバンクは202021年8月6日、公募価格(3万9000ウォン)の2倍近い6万9800ウォンで上場初日を終えた。たとえ「タサン」(上場初日に公募価格の2倍で取引開始後、ストップ高となること)を記録することはできなかったが、8営業日で9万4400ウォンとなり申告価格を更新した。
そんなカカオバンクが2021年末からは引き続き下り坂となっている。
2022年に入ってカカオバンクは18%ほど下落した。1月28日には公募価格水準に過ぎない3万9550ウォンとなった。現在は5万ウォンボックス圏内で騰落を繰り返している。
「金融株1位」というタイトルもKB金融に奪われた。韓国総合株価指数(KOSPI)の時価総額の順位も一時9位まで上がったが、現在は14位(今月6日基準時価総額)まで下がった。
◇カカオバンクの未来は?
カカオバンクに対する市場の見方は友好的ではなくなってきた。
ハンファ投資証券はカカオバンクに対し、目標株価4万7000ウォン、投資意見「保有」(hold)を提示した。同投資証券のキム・ドハ研究員の解説はこうだ。
「カカオバンクはブランドパワーと安定的な資本調達、友好的な市場環境によって、限界のない高速成長の街道を走ってきた」
それが今、家計向け融資市場の成長制限、中信用融資の比重・規制の正常化などにより、制約が生じるという状況に初めて直面した。
「2022年以降の高成長を期待して、中・長期価値を反映して5年目標PBR(株価純資産倍率)2.6倍を提示するものの、上昇余力は限定的だ」
Kバンクが営業を正常化し、新規ネット銀行のトスバンクも発足してライバルが出現した。その状況のなか、代替的な性格であるネット銀行間のあつれきが発生しかねないという。
ユン・ソンニョル(尹錫悦)氏が大統領に選出されたことで、住宅市場が活性化し、それによって融資規制の緩和が予想される。その結果、業績が改善する、という期待感も語られている。
カカオバンクは今年2月に発売した住宅ローン(住宅担保融資)累積約定金額1000億ウォンを突破して成功し、最近は融資対象を拡大した。
ハイ投資証券はカカオバンクに対して目標株価6万ウォン、「買い」(buy)という意見を提示した。同証券のキム・ヒョンギ研究員は「カカオバンクの第1四半期の当期純利益は711億ウォンで、コンセンサスに合致する見通しだ。純利子マージン(NIM)は中金利融資の成長と基準金利の引き上げによって大幅に改善している」とみる。
ウォン建て融資債権は金融当局の家計融資規制により、前四半期比3.5%の成長を予想するとしたうえ「信用融資は高信用者向けの新規融資中止によって小幅な増加に止まるだろう」と指摘した。
キウム証券は目標株価5万7000ウォン、「市場収益率を上回る(outperform)」との意見を出した。同証券のソ・ヨンス研究員は「新政権が金融の安定から住宅市場活性化を中心に政策基調を変更すれば、同社が最も多くの恩恵を受けるだろう。今年と来年の純利益をそれぞれ20%、48%上方修正する」と明らかにした。
ただ「金融の安定に不安が高まっている状況で、新政権が政策基調を全面的に修正し、住宅市場の浮揚のためにすべての融資規制を緩和すると断定することは難しい」と慎重な姿勢を示している。
(おわり)
「ネット銀行『5歳』革新と苦難」はMONEYTODAYのオ・サンホン、キム・サンジュン、ヤン・ソンヒ、イ・サミンの各記者が取材しました。