いったい、何がかっこいい?
韓国のデパート、大型スーパー、複合ショッピング施設などで英語表示が過剰に使われ、英語が苦手な消費者の間で「必要な商品を買うことが難しい」と不満が募っているようです。生活必需品を扱う流通産業は消費者生活と密接な関係があるゆえ、改善を求める声が上がっています。
先日、Twitterで、あるユーザーの投稿が話題になった。
「最近はなぜ、すべて英語だけで書かれているの? この前、両親と汝矣島(ヨイド)のIFCモールに行ったけど、店内を一周したお父さんが『店がこんなにいっぱいあるのに、私に読める看板がないよ』と言われた」
写真の投稿もあった。そこには店のコーナー案内の掲示板が写っていた。「stationery」「princess」……。「ここはイーマート。海外ではなく、韓国イーマート」。イーマート天安(チョナン)を写したものだった。
それぞれ、文房具コーナー、お姫様人形・王冠コーナーを表していたというわけだが、ツイートでは「英語表記ばかり使っていったい何が良いの?」「なんで全部そうするのか理解できない」と不満が並べられていた。
ロッテマートの乳製品コーナーの案内表示板も話題になった。一部店舗が、乳製品(dairy)コーナーを「デイリー(dairy)」と表記したためだ。英語を読めない人たちには、ロッテマートの乳製品コーナーを一目で見つけるのが難しいため、やはり議論になった。
現代百貨店の「ザ・現代ソウル」(THE HYUNDAI SEOUL)も同様に、運営中のウェブサイトの目次を英語表記にしたことで、一部で非難が相次いだ。「英語が苦手なのですが、フロア案内図を見ようと、ザ・現代ソウルのウェブサイトに入ったが断念した」などと不満が記されている。
流通業界全般でこうした現象が相次いでいる。
ただ、専門家の分析は、流通業界がトレンドに敏感であるゆえ、消費者の思いにそのまま順応している――というものだ。仁荷大校消費者学科のイ・ウニ教授に解説を求めた。
「英語が使われていると、消費者は洗練されたイメージを抱く。韓国で簡単に手に入らない、日常的ではない、高級なものとして認識する。そのため、流通各社も消費者の思いに寄らざるを得ない。英語は一目ではわかりにくいため、『何だろう』と視線を集める効果もある」
実際、英語や第2外国語を使用し、洗練されたイメージを追求することは、マーケティング・ブランディング技法としても用いられている。「モダン化技法」と呼ばれるが、コスメブランド「アリタウム」(Aritaum)、韓国料理レストラン「サバル」(Sabal)などがこれに該当する。
流通業界の説明も同じだ。
「stationery」や「princess」などの英語表記に対し、イーマートの関係者はこう説明している。
「イーマートのトイ・キングダム売り場で使われたものだ。トイ・キングダムは『おもちゃのテーマパーク』がコンセプトなので、異国の雰囲気を出すために、英語表記を使用した」
ただ顧客には不便だという意見もあり、「先日新オープンした店舗ではハングル表記の案内板も運営している。これまでの店舗も今年3月から順次、ハングル表記の案内板に改装している」そうだ。
新世界フードが運営する新世界百貨店内のカフェ「ベキア・エ・ヌボ 」。同様に、すべてのメニューが英語のみで表記されていた。消費者のクレームを受け、現在はハングルと英語表記の2種類のメニュー案内を使用している。
国立国語院の関係者は「外国語のみ使用する場合、外国語がわからない方たちが疎外感を抱いたり、誤解が生じたりする恐れがある。ハングルを優先的に使用し、外国語を使うときにはハングルを併記すべきだ」と指摘している。
(おわり)
「韓国で不満続出…街中の過剰な英語表記」はMONEYTODAYのイ・ジェウン記者が取材しました。