
最近のAI(人工知能)業界で最大の話題は、何といっても「ミュトス・ショック」だ。ミュトスは自ら侵入経路を設計し、ハッキングまで遂行できる能力を備えていると伝えられ、これまで築いてきたセキュリティーシステムが無力化されかねないとの懸念まで出た。
米アンソロピックは一部の企業と機関に限定公開する「プロジェクト・グラスウィング」を立ち上げ、サイバーセキュリティー協力体制を構築している。危険性が大きいだけにアクセス権限そのものを制限しており、韓国も参加を打診した末にアクセス権を確保した。
一つのAIモデルが登場しただけで世界が揺れた。理由は単純だ。圧倒的な性能のためだ。
AI時代の勝者は、最も優れたモデルを持つ国家と企業になる可能性が大きい。ChatGPTがAI市場をリードし、米国がグローバルAI覇権を握っているのも、結局は技術力によるものだ。
韓国も独自の技術力で世界最高水準のAIモデルを確保するために走っている。最先端の画像処理半導体(GPU)を確保し、国家代表AIモデルを作る精鋭チームを選抜するなど、AI能力を強化している。米スタンフォード大学のAI指数、AAII(Artificial Analysis Intelligence Index)など主要な国際評価で韓国が3位に入るなど、国際的にも認められている。
意味のある成果であることは確かだ。しかし冷静に見れば、まだ道のりは遠い。天文学的な資金を投じて技術開拓を主導するビッグテック中心の米国、国家支援の下で攻撃的にAI戦略を進める中国などと比べれば、韓国の競争力にはなお限界がある。
海外技術に依存しない水準のAIモデルを確保するだけでは十分ではないという声もある。AIが国家安全保障はもちろん、産業競争力や経済成長の中核インフラとして位置付けられる中、今やグローバル市場で競争できる汎用人工知能(AGI)フロンティアモデルを育成する必要性も提起されている。
ミュトスのようなフロンティアモデルが、結局はAI時代の話題を主導し、差を生み出す。自ら状況を理解して判断し、問題解決策まで提示するAGI水準のAIが現実化すれば、産業と社会の変化の速度は現在とは比べものにならないほど速くなるだろう。
AGIフロンティアモデルの確保は、韓国が新たな機会を探っているフィジカルAI時代にも重要だ。韓国は半導体、自動車、造船など、世界最高水準の製造業競争力を備えている。AIがこうした現実世界を動かす技術へ進化するには、多様な状況で土台となる強力なモデルが必要になる。
現実的に越えなければならない課題も少なくない。
フロンティアモデルの開発には莫大な資本とコンピューティング資源が必要だ。グローバルビッグテックの投資規模やコンピューティング資源などに、韓国が短期間で追いつくのは難しい。このため政府も2025年に確保したエヌビディアのGPU26万個を超える追加投資策などを検討している。
フロンティアモデルを作り出しても、別の課題が残る。すでにグローバル市場はビッグテック企業が主導している。韓国モデルが競争力を確保するには、性能、費用、産業での活用性の面で明確な効用を示さなければならない。既存製品より確実に優れていることを証明できなければ、利用者が選ぶ理由はないからだ。
グローバルAI3大強国という目標は、単に順位を意味するものではない。グローバル技術秩序を主導する国家になるという宣言でもある。米国、中国と肩を並べられるフロンティアモデルの開発は、フィジカルAI時代に韓国がファストフォロワーではなくファーストムーバーへ跳躍する出発点になるだろう。【news1 ナ・ヨンジュンICT科学部次長】
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