現場ルポ
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)氏が大統領に就任することで、大田(テジョン)や忠清南道(チュンチョンナムド)地域で「犬食禁止法制化」論議が再燃する見通しだ。
ユン氏は犬4匹と猫3匹の計7匹のペットを育て、ペット動物インスタグラムのトリスタグラムも利用するなど、普段からペットへの格別な愛情を見せてきたうえ、これを公約に反映する積極的な立場を堅持してきた。ただ、候補時代には「犬食禁止法制化」については「社会的合意を前提に推進する」と、留保する答弁をした。
こうしたなか、農林畜産食品省、食品医薬品安全庁などが食用犬飼育関連農場、食堂などを対象にした実態調査の結果を近く出す予定で、次期政権の「犬食禁止立法化」推進の有無に関心が集まっている。
大田市などによると、犬の食用問題は34年前の1988年ソウル五輪開催を控え、海外の動物保護団体が韓国の犬肉文化を問題視したことから始まった。その後、「法でポシンタン(補身湯/犬鍋)を禁止すべきだ」という意見と、「韓国固有の文化と個人の食の性向を尊重すべきだ」という主張が激しく対立してきた。昨年9月にムン・ジェイン(文在寅)大統領が「犬食禁止検討」を提起した後、法制化検討の動きが本格化した。
農林畜産食品省、食品医薬品安全庁は昨年末から最近まで、全国の地方自治体の協力で、犬飼育農場、屠殺場、取扱商人、食堂、関連協会などを対象に「食用目的の犬飼育および犬肉流通に対する実態調査」を実施した。
現在、大田には約1万8000軒余りの一般飲食店が登録されている。このうち約5~6%前後の1000軒余りの飲食店が、ポシンタンを扱っているものと推定されている。
大田市東区(トング)で2代、50年にわたりポシンタン専門店を運営している事業主Aさん(54)は次のように抗弁する。
「食堂は、地域のポシンタン愛好家たちの愛顧のおかげで成長した。先祖から受け継がれてきた食文化であり、嗜好食品を法で規制すること自体理解できない」
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