2024 年 11月 28日 (木)
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資本主義の味を知るロシア市民たち…北朝鮮のように生きていけるか

14日、ロシアの主要テレビ「第1チャンネル」で、ニュース番組の生放送中に女性社員が「戦争をやめて」などと大書された紙を掲げた©AFP=news1

「ロシア人は今後、海外旅行はもちろん、クレジットカードやインターネット、ネットフリックスもできないという厳しい状況が訪れるだろう」

ウクライナを侵攻した見返りに、国際社会から制裁を受けているロシアの状況について、米ペンシルベニア州立大のイッキーズ経済学教授はこう言い放った。

実際、ロシアでは最近、グローバル企業の多くがボイコットを宣言して撤退している。決して少なくない損失があっても、「戦争は止めなければならない」という大義名分と、今後の不利益を考えあわせた結果、ロシアを離れているのだ。

ボイコットを宣言したグローバル企業だけで数十社に上る。AppleやGoogle、インテルなどIT・半導体企業はもちろん、ビザやマスター、ゴールドマン・サックスといった金融業、BMWやフォード、ボーイングなど自動車・航空、ナイキやアディダス、ユニクロなどファッション、マクドナルドやコカコーラなど食品、ネットフリックスやスポーティパイ、ディズニーなどコンテンツ企業などが事業撤退を決定した。

こうした状況になると、ロシア市民らは「最後のビッグマックを買おう」と、モスクワのあるマクドナルド売場の前に長蛇の列を作る。イケア売場では「最後の鍋を買おう」と、市民らの間で喧嘩が起きる様子もみられた。

1990年3月、マクドナルドはモスクワのプーシキン広場に初めての店舗をオープンした。ウクライナ侵攻から20日後に、再び30年前に戻ったことになる。既に多くのメディアの報道からも、ロシアの経済状況が30年前に後退するとし、これを回復するには数十年かかるかもしれないという分析が出ている。

現在までロシアに科された重大な制裁は3つ。国際銀行間通信協会(SWIFT)の排除、外貨保有高の凍結、米国の対ロシアガス・原油輸入禁止だ。このような制裁で、ロシアの経済状況は極度の不安定に陥った。

米CNBCによると、世界銀行のカーメン・ラインハート首席エコノミストは「ロシアとその同盟のベラルーシは、デフォルトにほぼ近づいている」と警告した。ロシアは、制裁に戸惑いを隠せずにいるが、今は耐えているようにみえる。一方で、バイデン米大統領ら主要人物に対する報復制裁を出し、核の脅威までちらつかせている。

ロシアは依然として、欧州を相手に天然ガスという“兵器”を持っている。最近、欧州が一つになってロシア制裁に参加しており、あいまいな態度を取っていたドイツも強硬路線に旋回したが、いつまで対立が続くかは分からない。

これは欧州のロシア天然ガスの輸入依存度のためだ。韓国国会の立法調査処発刊「イシューと論点」の「米国と欧州の対露政策決定要因と展望」報告書によると、欧州連合(EU)加盟国の天然ガス輸入分のうち、ロシアの比重は平均38.1%に達する。

詳細はチェコとラトビアは100%、ドイツは65.2%、フランスも16.8%に達する。最近、英国のジョンソン首相がロシア産石油・ガスへの依存を断たなければならないとして強い立場を示したが、これは英国とEUの立場が大きく異なるためだ。英国のロシア天然ガス依存度は5%にも満たない。

また、ロシアは経済事情が厳しくなっても、中国を通して苦難に耐える、あるいは自給自足を通じて持ちこたえることができるという考えだ。専門家らも「イランモデル」を論じている。2012年、現在のロシアに似たような制裁に直面したイランは10年間、持ちこたえることに成功している。これに比べ、ロシアははるかに大きな国で、自給自足が可能な国だ。

米コーネル大の経済制裁専門家ニコラス・マルダー氏も「言うまでもなく、現在の経済制裁は苛酷で深刻な結果を招くだろう」と指摘する一方で「制裁序盤の致命的な危険が過ぎ去れば、しばらく低成長や逆成長の時期が来るだろう」と述べた。制裁効果は、時間が経てば経つほど減少するという意味だ。

ロシア・サンクトペテルブルクで2月24日、ウクライナ戦争に反対するデモが展開されている©ロイター=news1

だが、逆説的にも、外部による経済制裁とは別に戦争を起こしたプーチン大統領の最大の危険要因は、内部の抵抗だという指摘が出ている。イッキーズ教授は「戦争初期にはプーチンのウクライナ侵攻を支持する世論が存在した。だが2週間前から変化がみられる」と述べた。

実際、統制が日常茶飯事のロシア内部でも、市民による反戦デモがしばしば起きており、国営放送では生放送中の反戦デモもあった。あるショッピングモールでは、ロシア貨幣であるルーブルが紙切れに過ぎないとして空中でばらまかれる事件も発生した。

このような内部抵抗は、今後さらに深刻化する可能性がある。日常的に享受してきた海外コンテンツや文化、輸入ファッションなどが一瞬にして途絶える、ということに耐えられないというのが、多くの専門家らの大半の見方だ。事実上、外部と断絶されたまま北朝鮮のように生きていかなければならないという意味だ。

ただ、数十年間、開放された社会を生きてきたロシア市民が、これに適応することは容易ではない。結果的にプーチン体制の亀裂は外部からの制裁ではなく内部からもたらされる可能性があるという話だ。

英メディア「inews」によると、米中央情報局(CIA)に34年以上勤めたベテランのダグラス・ロンドン氏はこう見通す。

「プーチン氏は国家統制力の喪失を心配している。経済に対する脅威が、あるいは街の反戦デモの激化が、彼の国内での力を弱めるだろう。ロシア国民が『蜂起をしても失うものがない』と感じて立ち上がったら、プーチン氏には深刻で長期的な懸念になるだろう」

©news1

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